April 22, 2009

パリのアラブ世界研究所の図書館と探偵小説専門図書館

 フランスから帰ってきて3週間近くになる。疲れも取れて、日常の生活に慣れてきたところだ。だが、まだ心はフランスで彷徨っている。
 帰国する当日、乗る便が夕方に出るので、午前中いっぱい、パリを散策した。アラブ世界研究所の図書館を久しぶりに訪れて、螺旋の通路を登ったり降りたりした。アラブ世界研究所の図書館は、建物の3階、ただしこれはフランス語での3階で、日本語では4階に当たるけれども、まあ、とにかく3階に入口がある。ここに受付や資料を検索するOPAC用のパソコンがある。以前はアラビア語が入力できる端末があって、流石だなあと驚いたけど、今ではアラビア語を処理できるコンピュータは当たり前で、日本で買えるパソコンに備え付けのソフトウェアでも、簡単にアラビア語の入力はできる。
 入り口から見て、反対側に、その螺旋の通路がある。実はこの螺旋の通路から見えるセーヌ川とノートルダム寺院の眺めは格別に美しい。アラビア語の資料とノートルダム寺院の眺めは、しっくりこないけど、だまされたと思って、行ってみてほしい。
 螺旋の通路は上下に分かれていて、フランスでの階数で言えば、5階のフロアと1階のフロアへ通じている。つまり日本の階数では6階と2階に相当する。螺旋を緩やかにするために、各フロアの天井を高くして2階分確保している。その通路には、主にアラブ世界で刊行されている雑誌が排架されている。

 螺旋だから棚が斜めに並べれているのか?

 そういうわけではない。ちゃんと棚は水平になっている。いくら雑誌でも斜めの棚では歪んでしまう。

 アラブ世界研究所から程近いところに、パリ市の探偵小説専門図書館がある。どういう経緯で、この図書館が設立されたのか、詳しくは調べていない。それほど大きな図書館ではない。利用者が10人も入れば満杯になるくらいで、書斎のような可愛らしい、しかも落ち着いた雰囲気の図書館だ。
 探偵小説・推理小説、いわゆるミステリ小説と関連書を所蔵する図書館で、探偵が活躍するBD(フランスの漫画、バンド・デシネ)や小説家の人物事典、解題書誌などが網羅的に集められてる。日本の松本清張、横溝正史、江戸川乱歩などの作品があるかと思って探したが見つからなかった。やはり、フランスと英米の作家の作品が多い。
 フランスの図書館では、デューイ十進分類法と国際十進分類法のどちらかで資料が分類されている。公立図書館と幼稚園・小学校の図書館はデューイ十進分類法で分類されていて、コレージュ(中学)とリセ(高等学校)、職業リセ、農業リセ、大学図書館は国際十進分類法で分類される場合が多い。
 しかしながら、探偵小説専門図書館は、専門的な資料を集めているので、独自の分類法を採用している。一口に探偵小説といっても、さまざまなジャンルがあり、取り扱っている犯罪の種類もさまざまなので、それに応じて分類されている。また、探偵小説のレファレンスブックも細かく分類されている。
 帰りの便の時間を気にかけながら、図書館職員の人に分類について尋ねたら、詳しく案内してくれた。実に親切に説明してくれたので、思わず恐縮した。なんとか空港には間に合ったけれども。
 探偵小説専門図書館(BiLiPo)は、メトロ10号線のカルディナル・ルモワヌ駅から歩いて3分くらいのところ。メトロの出口を出て、消防署の脇の坂道を上ったところにある。消防署員がじろじろにらめつけるけれども、気にしないで、図書館に直行しよう。パリ市のアニマシオン・センターに併設されている。


23:46:51 | falcon | comments(0) | TrackBacks