April 12, 2009

ぶらぶら途中下車の旅 : オーヴェル・スュル・オヮーズへ

 4月1日、せっかくフランスに来たんだから、お勉強ばかりでなく、観光をしようと、オーヴェル・スュル・オヮーズへ行った。
 オーヴェル・スュル・オヮーズはご存知の人も多いと思うが、フィンセント・ヴァン・ゴッホ終焉の地。
 ゴッホだけでなく、数多くの画家がこの地を訪れて、作品を残した。まさに19世紀後半の画壇の聖地みたいな所だ。

 ホテルの人に朝、「どうやって行ったらいいかな?」って訊いたら、「北駅で自動販売機で切符を買って、Banlieueの電車に乗れば、1時間くらいだよ」と教えてくれた。
 なるほど、ガイドブックにも北駅かサンラザール駅からポントワーズ駅まで行って、乗り換えれば良いと書いてあった。
 北駅で自動販売機に挑戦して切符を買った。クレジット・カードが使えるので、結構便利だ。フランス語だけでなく英語などの言語に表示が変更できるので、フランス語で不安ならば英語に切り替えれば良い。残念ながら、日本語への表示の切り替えはない。オーヴェル・スュル・オヮーズ駅は無人駅らしいので、往復切符を買った。早速、Banlieue、郊外電車の改札を通る。
 遠距離の列車のときはコンポスタージュと言って、自分で機械のところに行って、切符を有効にしなければならない。これを忘れると、罰金を取られる。
 北駅から出る郊外電車はRERと同じ自動改札を通る。
 ここからが問題だった。ポントワーズ行きの電車がどのホームから出るのか、見当がつかなかった。そこで、駅員の人に訊いたら、「9時4分の電車に乗れば」とアドバイスをもらったので、RERのD線に乗り込んだ。この電車の終点はオリー・ラ・ヴィル・コワイユ駅。ポントワーズ駅には行かない。「おかしいなあ?」と一瞬思ったが、オリー駅で乗り換えて、クレイュ駅まで行けば、ポントワーズ行きの電車に乗り換えられるので、それに乗ればいいのだなと判断して、オリー駅で降りて、間もなく到着したクレイュ行きの電車に乗った。クレイュ駅にはあっという間についた。時間は9時40分くらいだったかな。
 そうだ、ポントワーズ行きの電車がいつ出発するか、駅員の人に聞いてみよう。
 「あのお、ポントワーズ行きの電車はいつ出発しますか?」
 「ちょっと待ってて、他の駅員の人に聞いてみるから」と言って、トランシーバで連絡を取ってくれた。
 トランシーバから漏れてきた声は「マロウズマン……」
 えええっ、え! 11時52分まで電車は来ない!!
 あと2時間もあるじゃないか!
 「残念ね、ゆっくり待ちましょうね」と若い女性の駅員さんは微笑みを残して、ホームの端まで行ってしまった。
 北駅の駅員に、いっぱい食わされた。そういえば、今日はpoisson d'avril、エープル・フールだった。
 仕方ない、クレイュという町を散策しよう。フランス国有鉄道は改札がないから、途中下車はできる。駅を出ると、すぐ近くにツーリスト・オフィスがあった。
 「この町で、どこか見物できるところはありますか」
 「ええ、ありますよ。ここから少し歩いて、橋を渡った中の島に美術館や歴史的な建物がありますから、見ていらしてください」
 「遠いですか?」
 「徒歩ですぐです」
 クレイュという町はガイドブックには載っていない。まあいい、2時間、暇つぶしに歩いてみるか。
 この町はかなり大きな町で、地図にはモスクがある。ということは、イスラム教徒が多いということだ。たしかに街を行く人のほとんどがアラブ系。パリの郊外はアラブ系やアフリカ系の移民が多い。この町もその一つ。
 美術館は、この日は午後から開館する。駄目だ、諦める。近くにクレイュ城がある。この城は中世のころからある由緒ある城だった。また、橋のたもとのプールの建物の裏手に東屋(キオスク)がある。このあたりにはホームレスが住んでいる。フランスの失業率は高い。こんなところに社会のひずみが見えてくる。
 教会があった。ここのステンドグラスは古くはないが、味わいがある。朝の光を浴びて、みずみずしい光線が床に広がっていた。
 と、ぶらぶらしているうちに、1時間半は過ぎた。

 実は、初めてフランスへ行ったとき、シャルトルまでの切符を買って、ヴェルサイユで途中下車して、宮殿を見学する計画を立てていた。ところがモンパルナス駅から電車に乗って、乗り過ごして、ランブイエ駅まで行ってしまった。仕方なく、ここで途中下車して、見物した。ところが、がっかりするどころか、ランブイエは古城のある町で、しかも古城は大統領の夏の公邸になり、第1回サミットの開かれた美しい町だった。気持ちよく、散策した思い出がある。最近はガイドブックで紹介されているが、パリの人が散策する郊外の町として人気がある。そのときは、ランブイエからヴェルサイユへ戻って宮殿を見物して、シャルトルへ向かった。

 ポントワーズ行きの電車に乗り込み、オーヴェル・スュル・オヮーズへ向かった。途中下車の話が長くなったので、オーヴェル・スュル・オヮーズの話は次に。
(つづく)

00:20:18 | falcon | comments(0) | TrackBacks