December 09, 2009

メディアとは

 メディアという言葉を頻繁に耳にするけれど、何となくわかったつもりで使っている。元来、ラテン語の「中間のもの」を意味する名詞mediumの複数形がmediaである。mediumは英語で肉の焼き加減、衣服のサイズで「中間」を表すのに使っている。
 今日、メディアと聞いて、連想するのは、テレビ・ラジオなどの放送業界、新聞・雑誌などのジャーナリズム・報道関係、広告、あるいはインターネットかもしれない。大学の講義名に「メディア」という言葉が、やたらに目につく、鼻につくけど、大抵、放送や報道のことを指示していて、その奥深い意味について考えずに、時には意味の解りきった言葉として、またある時には仲間内の隠語のように使われている。少し気のきいた人ならば、インターネットもメディアだとも言うし、図書は印刷メディアだとも言う。



 メディアを一口に定義するのは並大抵のことではないけれど、メディアを真正面から捉えて定義しようという試みは意外に少ない。そうした状況の中で、この本はメディアをかなり丁寧に定義しようと試みている。多くの本が、読者はメディアを放送、報道、インターネットと捉えているから、それでいいと割り切って、論じているけれども、この本はメディアの定義をしっかりしてから、社会の現象を捉えようとしている、ある意味珍しい本である。大学の講義用のテキストみたいな箇所もあるが、「メディア学」と銘打って、中身はジャーナリズムのお話だったという期待の裏切りは無い。誠実さのあらわれている本と評価したい。

 メディアを慎重に探求したいときに、この本は道しるべを示してくれる。著者は心理学が専門らしい。

00:45:36 | falcon | comments(1) | TrackBacks