December 22, 2009

名著薄命

 本当に面白い、興味深い本は、絶版になってしまい、忘れ去られてしまう。

 先日、古新聞を片づけていたら、書評欄で鈴木浩三著『江戸の経済システム』(日本経済新聞社,1995)が紹介されていて、これは読んでみたいと思った。それで探し始めたのだが、書店では手に入らない。図書館のOPACで検索したら、貸出可能だったので、早速予約して、借りた。図書館というのは実にありがたいと思う。絶版になった本が手に入るのだから。

 とにかく、面白い。江戸時代についての本は結構出版されているが、経済システムから解説している。
 江戸時代は、米を取引する現物経済と金・銀・銅貨を用いる三貨経済で、今から考えると実に複雑な経済体系になっていた。米相場、金相場、銀相場で、江戸・大坂・京都の金融・財政・取引が動く。しかも、電話もファックスもインターネットも無い時代に、こんなに巧妙な経済システムができあがっていた。

 江戸の天下普請も興味深い。先日、NHK『ブラタモリ』で、JR御茶ノ水駅に並行して流れる神田川が江戸時代に手掘りで切り開かれたと紹介されていたが、この本でも触れている。これを読んでいれば、『ブラタモリ』が百倍とまではいかないけれども、数倍楽しめる。
 江戸時代の火事は放火が多い疑いがあるという視点も興味深い。火事で町の区画整理を行ったり、住居の建設で経済・財政が潤うという「焼け太り」のような裏事情があり、火事が単純な災害だけで無かったという。しかしながら、命を落とし、住む家を失った人々のことを思えば、数百年経っているからと言って面白がるのは慎もう。

 江戸時代も、幕府の財政危機が起こり、金貨改鋳などを行ったり、貿易赤字を解消したり、産業振興・農地改良を行ったりと、呑気に暮らしていたわけではないことが、この本を読むとよくわかる。「昔は良かった」どころか、昔も庶民の暮らしは楽ではなかった。江戸の人々の喜怒哀楽までも行間から伝わってくる。

 簡潔な文章で、江戸時代の重要項目を経済の視点から、書きあげているので、大変勉強になった。

 まさに名著薄命である。

13:58:22 | falcon | comments(0) | TrackBacks

イタリアの教育制度?

 今、イタリアの教育制度・学校制度について調べている。

 アメリカ、英国、フランス、ドイツ、フィンランドの教育制度・学校制度は、比較的簡単に調べられる。ところがイタリアに関してはほとんど情報が無い。一応、信頼できる情報として、外務省のホームページから得られる情報がある。図書では数十年前の情報が掲載されているが、最近の情報は少ない。雑誌記事・論文で最近の情報が数件ある。

 イタリアの教育省の情報で調べるしかないのだろうか。

 イタ語も一応勉強しているから、チャレンジしてみるか。

13:29:25 | falcon | comments(0) | TrackBacks