November 13, 2009

パンダの保護者さんへ

 分科会へのご参加、ありがとうございます。

 私は学会のメンバーですけれども、検定試験の実施ワーキング・グループのメンバーでないので、検定試験の受験資格についてはお答えできませんし、「考えておきます」という対応もできません。
 一応、ご意見があったことは根本先生、竹内先生たちの実施ワーキング・グループへお伝えしておきます。

 本来なら、司書の有資格者としたいところでしょうが、慶応義塾大学、筑波大学、東京大学等の図書館情報学系の大学院在籍者の中には司書資格を有さない者もいますから、受験したければ誰でもOKにしているのではないかと思います。また、国立国会図書館職員にも司書資格を有さない人がいます。
 以上の理由から、受験資格を設けると、その集合から外れるが、受験資格として認めるべきと思われる人が続出する可能性があります。なので、一応、緩やかにしているのでしょう。
 今後、この検定試験が存続されるのであれば、受験資格を設ける必要が出てくると思います。

 大変貴重なご意見をいただき、感謝いたします。

14:21:00 | falcon | comments(0) | TrackBacks

司書資格にしても、司書教諭資格にしても、ハードルが低い

 昨日、図書館総合展の分科会のパネラーで発言したが、思えば図書館の資格のハードルが低すぎる。

 司書補については、高校卒業ならば司書補講習を受講できる。単位が取得できるかは、本人次第だけど。

 司書については、短期大学卒業以上、あるいは大学に2年以上在学して要卒単位を62単位以上取得すれば=つまり、大学3年次以上の学生ならば、司書講習を受講できる。これも取得は、本人次第だけど。

 司書教諭については、教員免許状を有する者、およびあるいは大学に2年以上在学して要卒単位を62単位以上取得すれば=つまり、大学3年次以上の学生ならば、司書教諭講習を受講できる。短期大学卒業でも教員免許状を有する者は講習を受講できるし、大学3年以上の学生が受講できるということは、事実上、司書資格と同じ、短期大学卒業以上のレベルとなる。

 日本の短期大学卒業レベルと欧米のポスト・グラジュエート(専門職養成の大学院)修了レベルと比較すること自体、論外だ。
 フランスでは、大学卒業で公立図書館職員の採用試験を受験すると司書補レベルだ。
 
 これだから、日本ではド素人のボランティアにも、図書館の仕事はできそうと思われてしまう。
 最近では、書名は明かさないが、学校司書を学校図書館の専門家として、司書教諭の先生はボランティアが支援してあげなければなならない存在と扱っている図書すらある。

 図書館で働く非正規職員が増えているのは、社会構造に問題があるけれども、資格取得のハードルが低いことにも問題がある。

 欧米並みに司書資格をポスト・グラジュエート修了レベルにするのは難しいにしても、司書補は短大卒業レベル、司書は大学卒業レベルにしないと、いつまでたっても、ド素人のボランティア養成という珍妙なことはなくならないだろう。ボランティアを養成することは、図書館の仕事のレベルを引き下げる。
 ただし、不自由を感じる人たちを支援するボランティア、外国語で利用者を支援するボランティアは別枠に考えるべきだろう。

 そうそう、図書館法が改正されて、大学における司書課程へシフトする。そうなれば、いくらかレベルアップになる。

 最近の大学生を見ていると、20年前の高校生レベルだけれども。

13:20:10 | falcon | comments(0) | TrackBacks

うふふ、図書館総合展で思いっきり発言

 図書館総合展の分科会でパネリストになりました。

 「ノラ司書」をしていた時、「はやく、専任なりたい」と妖怪人間ベムのように叫んだ思い出話。

 テレビで細木数子さんが「職場の中の男の嫉妬は怖い」と発言した話。

 図書館は妙な平等主義がはびこっていて、「女の職場」だ!と暴言を放った。

 かなり刺激的だったようです。

 参加者の皆さんありがとうございました。

00:41:50 | falcon | comments(2) | TrackBacks

仕分け多い訳

 政府の行政刷新会議のワーキンググループが、文部科学省の「子どもの読書活動推進事業と子どもゆめ基金」に対して廃止とした。

 最初にテレビでニュースを聞いたときは、ショックで言葉も出なかった。民主党政権になって学校図書館に力を入れてくれるのだと思って、期待をかけていた。聞き間違い、思い間違いと思って、新聞で確認した。蓮舫輝くの白い歯が癪に障った。もちろん、あの人が決めていないのはわかっている。でも、意見を取りまとめるときの匙加減があると思う。

 しばらくたって冷静なって、仕方ないと思い直した。

 所詮、局所的な政策になる。つまり、モデル地域に資金が投入されるだけだ。この事業のモデル地域ではないが、千葉県の市川市や袖ヶ浦市は複数回にわたって学校図書館に関わる事業のモデル地域に指定されている。かつて袖ヶ浦市の関係者が「(他からうらやましがられるが)やる気があるから袖ヶ浦は指定を受ける。指定を受けたいなら、手を挙げればよい。」と断言したことがあった。うーん、それって勝ち組の発言なんだよね。うがった見方だけど、「負け犬はあっち行け」と聞こえてくる。
 局所的なモデル地域事業は、中期的なイベントであり、全国的な動向にならない。勝ち組のわずかな「モデル地域」と負け組の、その他大勢の「漏れる地域」の格差を広げるだけだ。

 「相変わらず、モデルと漏れるで、笑いを取ろうとしているね」

 えっ?!、まじめに語っているだから、余計なこと言わないでよ。あっ、いけない。オネエ言葉になっちゃった。

 事業を行っても、子どもたちが読書をするようになったことを具体的に判定する基準がない。「貸出率が増えた」というのは客観的な指標のようだが、実際にどこまで読んだのか、わからない。「読書量が増えた」といっても、子どもたちの自己申告のアンケート調査では客観性は無い。作文を書かせて、語彙数が増えたことと読書量の相関関係を示すくらい調査しなければ、客観的な判断は無理だろう。

 元・杉並区和田中学校の藤原和博氏の発言が気になる。読売新聞には発言の一部が報道されているのだが、「一人の司書教諭が蔵書を管理している」と言っている。どこまで、和田氏は学校図書館について理解しているのだろう。校長時代の学校図書館への対応に疑問を感じていたので、発言の主旨を知りたい。
 和田氏は「15年以上前に出版された百科事典を捨てたほうが良い」とも発言したらしいが、文部科学省が示している「学校図書館図書標準」とのジレンマがあることを理解しているだろうか。15年前の百科事典を使っている学校はまだ良いほうだ。平成になってからなんだから。実際には、30年前、40年前に出版された百科事典を使っている学校も多い。ソビエト社会主義連邦、チェコスロバキア、西ドイツ・東ドイツ、西パキスタン・東パキスタン、北ベトナム・南ベトナムなどが掲載されている百科事典を使っている。自然科学や技術・工学は40年、30年で発見が相次ぎ、急速に進歩している。

 廃止の理由の一つに「地域で活発な試みがあるから、国が関わる必要はない」という意見があったようだ。
 学校図書館に地域の人たちが関わるのは大切だと思うが、所詮、ボランティアには素人の壁がある。
 何よりも、専門家としての司書教諭がすべての学校に配置されているわけでない。しかも、常勤の専任司書教諭になっていない。

 学校図書館の蔵書の充実は、逼迫した地方財政では無理だ。地方交付金で賄うことはできない。

 廃止した「子どもの読書活動推進事業と子どもゆめ基金」を復活してほしいとは思わないが、国は学校図書館に対して、もっと具体的な方策を示してほしい。

00:18:11 | falcon | comments(2) | TrackBacks