November 11, 2009

ある映画館の末路

 図書館総合展の2日目に出かけた。

 帰り道、昔、ロードショウ上映の1番館だった映画館がだんだん客足が途絶えてきて、閉館してしまったことを急に思いだした。

 映画はマスターフィルムがあって、それを複製したフィルムを各映画館で上映している。昔、洋画の映画フィルムで、日本に輸入される複製されたフィルムの本数が今よりも少なかった。そのため、1番館のロードショウ上映で使ったフィルムを修復して、2番館に送り、2番館で他の映画と2本立て、3本立てにして上映して、その後、3番館の名画座に送っていた。だから3番館の名画座になると、料金は1番館の半額以下で、傷だらけで、ほこりがちらつくスクリーンを眺めた。貧乏たらしい話だが、ついつい感傷的になる。Falconも、そんな名画座でヴィスコンティ監督特集を6時間ぶっ続けで見たことがある。

 「ねえ、また昔話、一体、Falconさんって、いくつよ!」

 まあまあ、話は最後まで聞いてほしい。

 Falconが映画に詳しいのは、親類が映画会社で働いていたからだ。

 その映画館は都心の繁華街にあって、ロードショウ上映の1番館だった。ビデオやレーザーディスクがはやりだすと、いきなり客足が落ちたので、2番館の2本立てになって、いくらかは客足が持ち直す。しばらく、それで続けられたようだが、また客足が遠のき、今度は日活ロマンポルノのリバイバルで客足の下げ止まりになった。かつてのロードショー館の時の華やかさ、気品に陰りが差してきた。最後は洋画のピンク映画の衝撃的なタイトルが目につくようになった。
 それから、しばらくたって閉館して、そこは更地になった。

 なんだか、インターネット、電子ジャーナル、図書の電子化って話を聞いていると、図書館が映画館と同じような末路をたどるような気がしてならない。

 利用者は便利で安いものに流れる。それに迎合していけば、やすっぽいものになってしまう。どこかで一線を画して、図書館としての気品を保つべきだとおもう。図書館の気品って、なんだろう。
 考え込んでいる暇はない。図書館の気品を示す時が来ている。
 「品格」なんて、手垢がついた言葉は使う気は無い。



23:32:24 | falcon | comments(0) | TrackBacks