October 11, 2009

超過激!未公開映画から見えるアメリカの真実

 日曜日の深夜、TOKYOMXで放映されている『松嶋x町山未公開映画を観るtv』を先週に引き続き観ました。オセロの松嶋尚美とアメリカ在住の映画評論家の町山智浩氏が、あまりにも過激な内容のため、日本では未公開のドキュメンタリー映画を観ながら、解説して、ツッコミをいれます。最近、お笑いと雑学クイズでうんざりしているのに、ついつい観てしまう自分に冷めて(あるいは覚めて)しまっていましたが、この番組で久々にシャキッとしました。
 10月4日と11日は、"Bigger, Stronger, Faster"「ステロイドはアメリカンドリームの副作用」。2008年に公開された映画で、監督のChristopher Bellとその家族を中心に、アナボリック・ステロイド剤(筋肉増強)、そして麻薬、覚せい剤など薬物に依存するアメリカ社会の闇の世界を描いています。
 監督のクリスと兄のマイク、弟のマークはそれぞれ子供のころから劣等感を抱えていました。兄のマイクはデブ、クリスはチビ、弟のマークはバカと。子どものころは誰もがヒーローに憧れます。彼らの憧れはシュワルツネッガ、スタローン、ハルク・ホーガンたちで、筋肉ムキムキのマッチョマン。スポーツに励むことで劣等感を克服しようとしますが、監督の兄と弟はステロイドに手を出します。監督のクリス自身も使用しているようなことをほのめかしてもいます。
 この映画ではオリンピック選手、メジャーリーグの野球選手たちの問題にも言及します。もちろん、カリフォルニア州知事シュワちゃんも若いころステロイドを使用していたことを認めたシーンも登場します。
 やがて映画の終盤には、アメリカ空軍のパイロットが覚せい剤の一種を常用していること、アメリカの子どもたちが学力を向上させるために薬物を使用していることなど、アメリカ社会が薬漬けになっている現状を明らかにします。おまけにブッシュ大統領が反ステロイドに積極的であったにもかかわらず、自分がオーナーを務めたことがあるアメリカンフットボールのチームの選手にステロイド常用者がいたことも描き、勝利と栄光を掴むには手段を選ばないアメリカの罪深い闇が浮かび上がります。

 以前、アメリカの男子大学院生が企業に就職するために容姿を立派に見せようとして、ステロイドを服用しているという新聞記事を読んだことがあります。優れた研究を続けるにはジムに通い続けるのは無理ですから、ステロイドを服用して、短時間の運動で筋肉をつけるそうです。もちろん、女の子にもモテたいしね。
 この映画でも触れていますが、アメリカで製造されているステロイドの一部は、メキシコとの国境付近で売られている家畜用のステロイドホルモンを混入した粗悪品もあるそうです。分量もバラバラで大量に摂取すると、当然副作用が起きます。

 町山氏が解説で述べていましたが、アナボリック・ステロイドだけでなく、成長ホルモンを注射して、身長を伸ばしたり、筋肉を増強する人もいます。成長ホルモンは成人してからは老化防止にも効き目があります。アメリカでは家畜の成長を促すためにホルモンを使っているとも言われています。

 ステロイドは筋肉増強だけでなく、炎症を鎮める効果もあり、副腎皮質や生殖器で分泌されます。性ホルモンの元となるのは、実は諸悪の根源のように言われるコレステロールで、コレステロールも名称の一部からわかるようにステロイドの一種です。最近、コレステロールをホルモンの起源と考えて、その重要性を評価する一般書も多く見られます。コレステロールには悪玉もいるし、善玉もいる。それに大量に摂取するのは問題です。適度に摂取すれば、体に良いはずです。コレステロールは細胞膜を作るのには欠かせませんから。

 ちなみにFalconは大学院生の時、公務員試験の面接で「スポーツは何をしていましたか?」と尋ねられると考えて、日焼けサロンに通ったことがあります。公務員試験の面接で期待通り質問されたので、「水泳をしています!」と答えたら、面接官に「良く日焼けされていますね」と言われました。それだけではないと思いますけど、合格できました。水泳は大学院生の時も少しはしていたので、まるっきり嘘をついたわけではありません。

 話が横道にそれてしまいましたが、この番組は刺激的で、非常に興味深い内容です。メディア・リテラシーを向上させるのにも適しています。

 そういえば、残念なことに、この番組は東京都と首都圏の一部でしか視聴できません。あしからず。

23:59:13 | falcon | comments(0) | TrackBacks