September 06, 2008

今年はお岩さまの祟り年

 またまた東海道四谷怪談です。今年はなぜか、お岩さまが人気を集めています。Falconは呪いとか、祟るとか、恨むとかが大好きです。えっ、「相当鬱積が溜まっているナ」ですって、ええ、そうですとも、人相手の商売ですから、色々とね、ムカつくこと数知れず、お岩さまになれるならば、思い切って、孫子の代まで、祟って祟り抜きたい。「それは誰だい?」、それは秘密、秘密……。



 小林恭二著『新釈四谷怪談』は、どちらかと言えば、お岩さまの出現の理由を色々と探った作品です。
 この本を読んで、驚いたのは、文化・文政のころ、幕府の御家人たちは武士とはいえども大変零落した生活をしていたことです。年収が二百万円程度で、家族4人では食事代すら儘ならない、極貧生活だったとは唖然とします。その一方で、歌舞伎の座敷席が十万円したらしいです。安い席もあったようですけど、歌舞伎は町人たちの娯楽だったんですね。
 作者の四世鶴屋南北は、晩成の戯作者だったようで、そのうえ、「本は読まない」と豪語して、誤字も多かったようです。とはいえども、お江戸の人々の心をぐっと掴んで、畢生の『東海道四谷怪談』で大当たりを射止めたのです。
 えっ、ヒット作を世に送り出して、誤字が多かったのは、どこかの誰かと似ているって?!、滅相もありません、口が裂けても、股が裂けても、余計なことは言いませんゼ。

 歌舞伎の作品で「岩」がつく女性は悪女、醜女が多い。

 小林氏の著作にありませんでしたが、私の知っている先生は著作で、日本神話のイワナガヒメ(石長比売)とコノハナサクヤビメ(木花之佐久夜毘売)の神話や仁徳天皇の皇后・磐之媛命(イワノヒメノミコト、嫉妬深かった!)の影響があると指摘しています。「岩」というのは、悪女、醜女、嫉妬深い、呪う、祟る女の代名詞だったのでしょう。

 お岩さま以前は、幽霊が実体化して、人を殺すことはなかったようですが、お岩さまは次から次へと人々を悲劇に巻き込み、当たると、これ幸いに、一家皆殺しなんですね。いくらなんでも、Falconには、お岩さまほど、恨みに思う人はいません。怨霊にならずに済みそうです。
 では、今夜はこの辺で、おやすみなさい。

01:20:01 | falcon | comments(0) | TrackBacks