May 13, 2008

司書はツライよ

 司書になるのはとても辛い。
 教える立場と、司書になる立場を混在させて書いているので、わかりにくいかもしれない。その辺のことは、御容赦を。

 資格を取得するには、時間(夏期講習では約2ヶ月)とお金がかかるが、受講する意志があれば、そう難しくない。それに、最近は受講生へのアンケートを募るので、教え方が気に入らなければ、いくらでも文句や苦情が書ける。受講者天国なのだ。だから、講師も受講生たちを気遣いながら、講義を続ける。やさしく、丁寧に教える先生も少なくない。ある意味、「お客様は神様です」だから、講師の中にはビクビクして、萎縮してしまい、肝心なことを「受講生には難しいだろうな」と思って、省いてしまうこともある。これじゃ、司書のレベルが下がる一方だ。たとえ、学ぶ気のない受講生がいても、重要なことを信念を持って教える努力を惜しまないように、Falconはしている。

 正確な数はわからないが、1年間で1万人(←訂正)くらいは司書資格を取得する。就職できる者は少ない。具体的な数字を言うのは避けよう。とにかく大変なのだ。

 Falconは大学を卒業して、2年間フリーターをしていた。図書館関係の仕事をしていた。フリーターの1年目は気楽に過ごした。両親も「1年ぐらいは」と許してくれた。2年目は、さすがに辛い。空気を吸うのも辛くなるくらい、周囲の目が厳しい。友人たちは就職して職場になじみ、遊びにも付き合ってくれない。技術屋だった父は、図書館職員になるのは大反対で、思い出してみると、あの1年間は会話がなかったと思う。そう思うと、アニメの第5話は、主人公の気持ちに重ね合わせて、微妙に立場が違うが、ちっとは共感して、心の中で泣けた。図書館職員になることを反対された経験のある人は、きっとアニメに共感できたと思う(第5話は視聴率が高かったそうだ)。

 その後、いろいろあって、倍率の高い公務員試験に合格して、図書館職員になれた。それまで試験に何度も落ちて、たまたま、運良く合格した。
 そのときは自分が望んだ仕事につけたのだから、苦労をしたという気持ちはない。
 就職しても、つまらない諍いに巻き込まれて、辛い目にあった。でも、なんとか乗り切れた。そのときのことは、こんなところで語るまい。

 利用者が探しまくっている本を一緒に探して見つけた時の喜びと、その本を利用者が大切に胸に抱えて、図書館の出口を出てゆく姿を見守る充足感は、一度味わったら、やみつきになる。これが1年に1回でもあれば、毎日のルーチンワークも、何のその。図書館職員(司書)になって本当によかったと実感する。
 そのときの感動を受講する学生たちに伝えたいと思って、教える日々を過ごしている。

07:32:25 | falcon | comments(0) | TrackBacks