April 05, 2008

「図書館」に出会える本

 もう、これは公式と言える命題かもしれない。

 「『図書館』がタイトル(書名)に含まれる図書は読むと、期待が裏切られる」

 その逆も真なりで、

 「『図書館』がタイトル(書名)に含まれない図書で、図書館について綴られているものは、期待以上のものが得られる」

 と言える。

 ということは、「図書館司書課程」「学校図書館司書教諭課程」のテキストも期待が裏切られるのか!?――敢えて、言わせていただければ、そうだ。自分もいくつか書いたことがあるので、大それたことは言えないが、正直なところ、自分が担当したところを読み返しても、あまり面白くもない。

 このブログで何回か取り上げた村上春樹氏の作品でも、『ふしぎな図書館』は、あまり面白くなかった。「図書館」という言葉に惹かれて、萌え〜となって、期待しすぎたからだろう。一方、『海辺のカフカ』は、タイトルに「図書館」が無いのにもかかわらず、図書館について能弁に語る作品で、村上春樹という作家が、図書館をどのように考えているかが興味深く思える作品である。

 久世番子さんの『暴れん坊本屋さん』『番線』も、しかり。

 実は、今、ネットスケープ社を起業したジム・クラークについて書かれた伝記的著作・マイケル・ルイス著『ニュー・ニュー・シング』(日本経済新聞社)を読んでいるので、この次に読もうと思っている本がある。
 『マイクロソフトでは出会えなかった天職:僕はこうして社会企業家になった』(ランダムハウス講談社)
 マイクロソフト社の要職を捨てて、アジアの発展途上国の子供たちに教育の機会を与えるために、図書館と学校を作り続けているジョン・ウッド氏の著作である。
 2冊とも読みとおしてから比較しようと思っているが、情報関連の仕事をしている、あるいは、していた人間が「社会」をどのように考えているのかが窺い知ることができる。
 ジム・クラーク氏は図書館をどのように考えているか、会って、聞いてみたい。「金儲けにはならないし、何よりも、世間を『あっ!』と言わせないなら、興味無いね!」と、冷たく一蹴されそうだけど。
 ウッド氏の著作は、かなり感情的な「あおり」があると、噂されているが、図書館について興味のある人にはうってつけの本で、タイトルに「図書館」がなくても、「図書館」に出会える本だ。

 最後に一言、最初に掲げた命題に、偶には例外があることも付け加えておく。本当に偶にだけれども。
 「例外があったら、公式でないだろう!」
と突っ込まれれば、「まあ、そうだね」と答えるよ。

16:24:33 | falcon | comments(0) | TrackBacks