October 07, 2008

北の叡智

 ある人から「絶対行った方がいい!」と勧められて、札幌で北海道大学の総合博物館へ行った。
 入館無料で、年季の入った建物なので、余り期待していなかった。北大の歴史のコーナーから始まり、北大の最先端研究の紹介、企画展の「分子のかたち」と進んでゆくうちに、はまり込んでしまい、時間を忘れて、身体感覚すら無くなって、どんどん突き進んでしまった。
 説明が細かくて、理解するのに苦労する展示コーナーもあったけど、水素電池のしくみや、唐辛子の成分カプサイシン、フロンの説明は印象に残った。
 さらに北海道の自然、オホーツク人、動物の骨、化石、鉱物の展示には興奮も頂点に達する。
 2006年まで採掘を続けていた札幌市の豊羽鉱山は、世界最大のインジウムの鉱山だった。インジウムは半導体などの最先端技術で欠かせないレアメタルの一つである。今は中国で産出しているようだ。日本は今でこそ金の産出量は少なくなったものの、世界でもトップレベルの含有量の金鉱脈があり、北海道と九州に集中している。金山で有名な佐渡や伊豆なども、地質の境目の構造線や火山地帯に集中しているというのにも納得した。
 今夏、鉱物の本を読んでいただけに、感激してしまった。
 北海道大学が誇るアンモナイトのコレクションも必見。

 学術的な展示と頭で解っているものの、ちょっと辛かったのは、皮膚病の患部のろう細工ムラージュの展示だ。短い人生ではあるが何度か入院の経験があるので、Falconは意外と平気なのだが、それでもギョッとすることがあった。医学の標本として制作されたものだが、肌色が生々しく、病変が痛々しい。やわらかそうな赤ちゃんの手と腕のムラージュは今にも動き出しそう。

 帰りにミュージアムショップに立ち寄った。「これ、北大の博物館で買ったのよ!」と自慢できそうなお土産が見つかった。

 正確に時間を計ったわけではないが2時間半、たっぷり楽しめた。手狭な割には、展示のテーマが広範囲にわたるので、今度来るときには、絞り込んでいくつかのテーマを集中的に見学したいと思った。

 北海道大学の構内は広いけど、総合博物館からポプラ並木までそれほど遠くない。台風で倒木したポプラ並木も復活してきた。

 はつあきのポプラ並木に風戦ぎ 一騎

21:49:59 | falcon | comments(0) | TrackBacks