October 05, 2008

五界説と日本十進分類法の問題点

 現在の最新版の日本十進分類法新訂9版(1995)は、いささか古くなって使いにくくなっている。「エイズ」はあるが、「インターネット」「ブロードバンド」はない。新しい分野が登場するたびに、改訂を繰り返す宿命的な課題を分類法は背負っている。日本十進分類法は列挙型の分類法であるため、コロン分類法を代表とする分析合成型の分類法よりも柔軟性に欠けると言われている。それだけに新しい分野の主題の分類を取り入れるときに面倒になる。分析合成型であっても新しい分野の分類はかなり難しい問題をはらんでいる。
 現在、日本図書館協会の分類委員会が新訂10版の刊行に向けて改訂作業を進めている。
 実は日本十進分類法の生物学の分野は二界説によって分類記号が並んでいる。古い分類法が二界説に基づいているからだ。それをいきなり五界説に改めよ!というつもりは毛頭ない。分類体系を改めると、すでに古い分類法で分類ラベルを作って添付している図書館では、分類ラベルを貼り替えなければならなくなるし、OPACの書誌データベースを書き換えることになり、大変な作業になる。
 しかしながら、『五つの世界』を読むと、日本十進分類法の生物に関する類綱目がずいぶんといびつに見えてくる。
 尤も図書館学の専門家にしても、図書館の利用者にしても、文学や歴史好きが多いので、生物学のことなど、「どうでもいい!」「そんなの関係ねえ!」(←ちょっと古いギャグだな)と思っているだろう。
 もともと分類の概念の本家は、生物学なのだから、分家の図書館学では、本家に気を使ってほしいと思う。
 そこで、すでにこのブログ開設時に取り上げた。軟体動物に含まれている棘皮動物、節足動物に含まれている脊索動物の分類記号を見直してほしい。いくらなんでも、節足動物のカニ、エビ、クモ、サソリと、脊索動物のホヤとナメクジウオが同居するのは無理がある。

17:39:26 | falcon | comments(0) | TrackBacks