July 23, 2007

烏來温泉

 「烏來(ウーライ)」とは台湾の原住民のタイヤール族の言葉で温泉を意味するそうです。
 台北を南北に走る淡水線と接続した新店線の終点、新店駅で降りて、改札を出て、右側にある案内所の裏側に烏來行きのバス停があります(2007年7月現在)。台北市中心部からもバスでいけるそうですが、新店駅からのほうがわかりやすいと思います。バスには路線番号がありませんが、「烏來」と書いてあるので、日本人なら難なく判別できます。
 新店駅から烏來まではバス代40NT$です。「ゆうゆうカード(Easy card)」注1が使えますが、台北市内は途中までなので、25NT$追加料金を払います。バスの運転手さんは、日本人の客あしらいになれているので、「25円入れる」注2と日本語で言ってくれます。

 注1:東京で言えば、パスモみたいなICチップつきのカード。台北市内のバスとMRTに使えて、しかも20%の割引がある。500NT$で、購入時にディポジトとして100NT$があるので、400NT$使用できる。使い切ると加算も可能。余った金額は、カードを駅で返却するとディポジトとともに返金される。小銭の必要が無く、ものすごく便利なカード。台北市内に滞在するなら、絶対利用するべき!

 注2:台湾の通貨NT$は、現地で「元」と書いてあったり、「圓」とも書きます。もちろん、人民元とも、日本円とも違います。昔、訪れたときは「圓」と書かれていました。今でも、コインには「圓」と書かれています。日本統治時代の名残ですね。

 新店駅からバスで40分ぐらい山沿いの道をゆくと、烏來に着きます。Falconが行ったときは、台湾最大級の滝が見られる観瀑台までゆくトロッコが途中の工事で休止しているため、「情人道路」とかいう道をとことこ歩きました。20分ぐらい歩いたかなあ、トロッコの終点に辿り着きました。そこから階段を上って、ロープウェイの駅に行き、ロープウェイに乗り込みました。高所恐怖症ではなかったのですけど、滝を見ながら谷底の川を見下ろした瞬間、生きた心地はしませんでした。魂が足元からするすると抜けてゆくような脱力感と恐怖感に襲われました。それまで暑さでだらだらと滝のように流れていた汗も、慌てて引き込み、冷や汗に代わり、終点までの時間が長かったこと、なんの。

 急に激しい雷雨になったので、ガイドブックに載っていた「小川源温泉」の日帰り風呂を楽しみました。入り口でお金を払うと、係りの人が案内してくれて、下駄箱に履物を入れると、ウォッシュタオルとバスタオルを貸してくれます。男湯と女湯に分かれていて、脱衣所にはロッカーがあり、鍵がかけられるので、安心。5つの浴槽があり、温度が違うので、順に入りながら、疲れをほぐします。誰もいなかったので、独占状態。炭酸塩泉ですが、泉質はぬるぬるした感じがあり、アルカリ性が強い気がしました。肌の汚れが取れるので、美人の湯だそうです。
 川沿いには、無料の露天風呂がありますが、悪天候だったので、入浴を断念しました。川が増水したら、怖いし。男女混浴なので、水着を着て、入浴します。おじさんが大半でした。

 烏來温泉は、台北から日帰りで十分楽しめます。日本の温泉郷のようです。日本の植民地でしたからね。
 ちなみに、台湾の人にはあまり反日感情はありません。むしろ、戦前の日本は公共事業で台湾のインフラストラクチャを整えたし、戦後は互いに経済発展を遂げて、民間レベルでは協力関係を築いてきましたから、親日的といえます。中国との関係がこじれているので、台湾は国際的に孤立していますが、日本企業の進出が目覚しく、これからも友好関係を続けていけるといいですね。

10:31:04 | falcon | comments(0) | TrackBacks

台湾でも「読書論」が人気!

 今回の滞在は台北のみでした。
 まあ、温泉探訪で烏來温泉に行きましたけど、MRT注1とバスを乗り継いで行った陽明山(市中心部からは1時間くらいかかる)と新北投は台北市内です。

 注1:台北市内を走る地下鉄、というよりか、パリのメトロとRERに相当する鉄道網

 台北には誠品書店というメガブックストアーがあります。
 そうですね、日本で言えば、丸善、紀伊国屋書店、八重洲ブックセンター、ジュンク堂書店、ブックファーストに類する書店です。台北市内のあちこちにあり、大型店では図書・雑誌だけでなく、日用雑貨、時計、電気製品、珈琲なども店舗内で売っています。中でも台北101などが建ち並ぶ信義地区の信義店は最大の売り場面積で、図書館のようです。台北の人たちは本が大好き!だなあと思います。どこの国にも、本好きな人はいますけど。
 昔、訪れたときに比べて、本の紙質もよくなり、装丁もしっかりしていて、表紙のデザインも人を惹きつけるようになってきました。

 さて、今、台北の市内の本屋さんで大人気の本は、なんと読書論。

 「カク(赤扁にオオザト)」明義著『越讀者』です。Falconは空港の書店で買いました。

 Falconは中国語を勉強しなかったので、言葉としてほとんど理解できませんが、繁体字注2なので文意は何とか把握できます。ところどころイラストとマンガがあって、面白い内容です。インターネット(網路)時代の読書論が主題で、早く日本語に訳してほしいなあと思っています。「読書離れ」はどこの国でも騒がれています。台湾も豊かな文字文化と優れた文学に恵まれているにも関わらず、「読書離れ」は問題になっているようです。

 注2:台湾と香港では繁体字を用いて、簡体字を用いる中国本土と異なる。最近、中国本土でも繁体字を復活させる動きがあるらしい。簡体字があまりに簡略しすぎて、本来の文字がわかりにくくなってしまったのが最大の理由。日本人には繁体字のほうが理解しやすい。

 でもね、読書をしない子どもたちを問題にしている人たちがいますけど、日本では実質的には昔(30年くらい前)から不読者の割合は変わっていないと思います。昔の子どもは、今みたいにインターネットが無かったから、1冊でも目をとおした本があれば、「読書した」と答えていただけで、読まない子どもは今よりももっといたと思います。何よりも、今より圧倒的に出版タイトルも出版点数も少なく、学校図書館の活動が活発でなかったし、公立図書館の数が少なかったのですから、今より多数の不読者がいたと思います。調査があったときに、良いところ見せようとして、嘘でも本を読んだことにしていたのでしょう。その点では、今の子どものほうが真っ正直です。これは台湾も、他の国も同じ事情だと思います。

 早速、明日、中国語辞典を買い求めて、解読のつもりで読んでみようと思っています。漢字文化の国に生まれてよかったと思っています。欧米諸国にはない、豊かで細やかな文字文化が存続していることは、絶対に世界に誇れます。
 英語やフランス語ができなくても、卑屈になる必要はありません。今の日本人に欠けているのは、愛国心ではなく、自分たちの文化に対する自尊心です。日本語で堂々と世界にアピールすれば、良いのです。少なくとも1億人以上が日本語を話すのですから、世界の言語の中でもかなり大きな言語人口です。

01:15:49 | falcon | comments(0) | TrackBacks