May 07, 2007

著作者人格権って!?

 以前にも、同じようなことを書いた気がしますけど、依然として学生たちのレポートやテストで、繰り返し論じられている点なので、改めて考えてみたいと思います。
 著作権について書かれたレポートに、
 「学校の児童生徒には、人格権の立場から、優れた芸術作品・文学作品を苦労して生み出した著者を尊敬するように指導したい。」
 とあります。
 しかしながら、著作権の概説書には「著作者の権利を尊重する」とありますので、おそらくレポートを書いた人は、尊重を尊敬と勘違いしたのだと思います。「著者を尊敬する」と、「権利を尊重する」というのでは、かなり意味が違います。「著者を尊敬する」というのは、作品を通じて、芸術的、あるいは文学的な価値を見出し、著者の存在を高みに置いて崇拝することを意味していますが、「権利を尊重する」というのは、著作者の立場を同等にみなして、その権利(財産権としての著作権と社会的な立場・名誉を保護する著作者人格権)を尊重することを意味しています。著作権法では、権利を尊重することを述べていますが、著作者を尊敬することについては全く触れていません。法律上の解釈として「権利の尊重」を「著者への尊敬」とみなせるか、法律の専門家ではないFalconは結論を導けませんが、もし、この点についてコメントを頂けるのであれば、ありがたく思います。
 日本の著作権法では、著作者人格権に「公表権」「氏名表示権」「同一性保持権」があります。「公表権」とは、著作物を公表するか、否かの権利であり、「氏名表示権」とは、著作物に氏名(実名または仮名)を表示するか、否かの権利であり、「同一性保持権」は、著作物を著作者以外の者が改変することを拒む権利であり、これらの権利から、「著作者を尊敬する」という解釈は考えられません。
 それから、私は勉強不足ですが、一般的な意味での「人格権」というのはあるのでしょうか。その人格権で、著作者を尊敬するように出来るのでしょうか。この点についても、コメント頂けるとありがたいです。

14:34:20 | falcon | comments(0) | TrackBacks