April 05, 2007

Bone,ボネ,ホネ,ほね,骨....

フランスから帰国して、睡眠時間がずれている。ボケているのは、元々だから、時差ボケはありえない。というわけで、今日は徹夜してしまった。
 パリを発つ日、夕方の便に乗るので、午前中、アラブ世界研究所の図書館へ行こうと思い、メトロ10号線でJussieu駅まで行った。ところが、アラブ世界研究所は月曜日休館だった。不覚にも、パリのガイドブック『パリ・スコープ』で確認しなかった。近くのミッテラン国立図書館新館は月曜日14時から開館だし、入館料を取られるから、行くのは諦めて、天気も良いことだし、植物園を散歩しようと思い、足を伸ばした。ちょうど園内の数少ない桜が満開だった。白っぽい花を咲かせる樹と、山桜のような桃色の花を咲かせる樹がある。見事なパリの春である。この旅ですでに訪れたストラスブールの欧州議会の前の川べりに咲いていた桜も素晴らしかった。
 植物園の入口から入って奥まったところに、パリ自然史博物館の大進化陳列館があり、その脇に生物学専門のメディアテック(誰でも入館して利用できる)と、その3階に図書館(研究者のみ利用できる)があるので見学した。生物学に関する資料が溜息が出るほど、所蔵している。
 まだ、時間が余っている。せっかくなので、大進化展示館に入った。子どもたちに混じって、動物の剥製の間を歩き回った。興味深かった。今にも動きそうな動物たちの剥製は、もしかしたら、夜になったら、動き出すかもしれない。(往路の機内で見た「ナイト・ミュージアム」を思い出した。)剥製の目が潤んで見えた。自分たちが殺された悲しみか、自然破壊をしつづけ、自滅の道を辿ろうとする人間たちに対する哀れみだろうか。
 パリの自然史博物館はそのほか、鉱物展示館、比較解剖学展示館と古生物展示館など、建物ごとに分かれている。動物園もある。
 恐竜の標本がみたかったので、比較解剖学展示館と古生物展示館にも入った。1階はなんと、現生動物の骨と内臓標本が所狭しと展示されている。骨だらけなので、奥の壁が骨に埋め尽くされて、見えないくらいなのだ。2階は恐竜を始めとした古生物の骨の展示、3階が三葉虫、アンモナイトなどの化石標本の展示である。面白かったが、1階の現生動物の骨の大集合は、夢に出てきて、うなされそうなくらいである。延延と骨が続くのだ。これだけ骨を見る機会は滅多にない。(植物園はメトロ10号線の終点オーステリッツ駅が近い)

 ついでに、今回は行かなかったが、RERのB線ダンフェルロシュロ駅の近くには、地下墓地カタコンブがある。これは、パリの共同墓地にあった人骨を、地下の採石場の跡地に安置したもの。今は、パリの「博物館」の一つ。見学者の通路は約800メートルあるが、公開されていないところもあり、闇の中に積み重なった人骨が延延と続く。これだけ人骨を見ると、恐怖心も麻痺して、地上に上がって、日の光りを浴びると、骸骨たちが懐かしく、不思議と幸せな気持ちになる。「死のダンス」という中世の版画がユーモラスに感じられるのは、こんな気持ちなのかもしれない。 [more...]

08:08:16 | falcon | comments(1) | TrackBacks