February 16, 2007

フランスに学ぶこと

 昨日(15日)のNHKのニュースで「フランスは少子化対策に取り組み、出生率が上がってきている」と報道されていました。ニュースで取り上げられなかったことをいくつか紹介します。
 フランスでは、3歳から公立の幼稚園に入園できます。パリでは、町のあちこちに幼稚園があり、朝と夕方に保護者が送り迎えに集まっている光景を頻繁に目にします。(子どもを育てている人は、残業をしないようです。終業時間をきちっと守っているのでしょう)
 小学校(5年間)は水曜日か木曜日がお休みです。となると、週4日制になりますが、その分、他の日の授業時間数が多くなっています。小学校でも、夕方になると、保護者が送り迎えで、校門の前で群れなしているのを見かけます。
 中学校(4年間)は水曜日か木曜日の半日授業です。午前授業で午後休みが多いのですが、午前休みで午後授業の学校もあります。高校(3年間)も水曜日か木曜日は半日です。
 休みの日は子どもたちは何をしているかというと、習い事や興味のあるスポーツ・クラブに参加しています。
 フランスの学校図書館は、最近20年くらいの間に充実してきました。
 幼稚園と小学校にはBCD(図書館文献センター)という学校図書館があり、1984年以降、国民教育省の省令で充実させるようになっています。小学校ではフランス語教育、つまり国語教育が徹底していて、そのために読書と文章を書くことを最重要課題にされています。移住民や他の文化圏で生活してきた児童であっても、「同化政策」により、フランス文化を言語を通して学ぶのです。BCDでの読書活動は、「趣味や娯楽のための読書」ではなく、「学習のための読書」(当然!)です。
 中学校、高校、職業高校にはCDI(文献情報センター)という学校図書館があり、1990年(制度は1989年に確立)からドキュマンタリスト教員という、国家試験で免許を認定されて採用された、日本でいえば司書教諭に相当する、専任の教員がいます。(制度の上で、日本の司書教諭はフランスのドキュマンタリスト教員とは「似て非なるもの」です。)
 2000年以降、総合的学習の時間が、高校、職業高校、中学校にあり、CDIを使って学ばれています。
 日本では、OECDの学力試験(PISA)でトップになったフィンランドほど騒がれていませんが、フランスは教育にかなり力を注いでいます。特に学校図書館の改革とその充実という点では、注目に値します。こうしたことも出生率が上がってきている理由の1つだと思います。

02:32:42 | falcon | comments(0) | TrackBacks