December 06, 2007

「図書館へようこそ」と言える小説

 タイトルに「図書館」が付いている本で、あー面白かった、あー良かったと思える本は、あまり多くありません。ほとんどがガッカリさせられます。
 エドモンド・ホワイトと言う人が書いた『燃える図書館』は、図書館の話かと思うとガッカリします。実はアメリカのゲイ文学に関してのものでした。それはそれなりに悪くは無かったのですけど。『図書館の死体』のシリーズも悪くは無かったのですが、図書館の話があまりからんでこなくて、ちーとばかりガッカリさせられたのです。
 むしろ、図書館をタイトルにしていない小説のほうが、結構いい味を出しています。
 森谷明子著『れんげ野原のまんなかで』東京創元社,2005は、秋庭市秋葉図書館という架空の図書館で働く司書を主人公に、移ろいゆく季節の中で起こる、ささやかな事件を解決していくミステリー小説です。秋庭市というネーミングが、Falconが秋真っ盛りに訪れた北海道の恵庭市の図書館を思い起こさせます。



 実は、今日、S堂でたった一冊残っていたのを取り置きしてもらって、ゲットしたばかりです。見つかったときは、嬉しかった!今、東京の本屋さんで、なかなか入手しにくいのです。帰りの電車の中で最初の章を読み始めたばかりです。本当に公立図書館の日常がよく描かれていると思います。宮部みゆきさんの『淋しい狩人』と雰囲気がよく似ています。『淋しい狩人』は古本屋さんが舞台なんだけど。
 タイトルに「図書館」がついていて、現実離れした話のほうが、売れ行きを考えると、読者を惹きつけるでしょう。
 Falconは、大人しめだけれども、『れんげ野原のまんなかで』に軍配を上げたいですね。

23:39:33 | falcon | comments(0) | TrackBacks