December 16, 2007

『れんげ野原のまんなかで』読了

 良かった。
 ほのぼのとして、ちょっぴりドキッとさせられて、最後まで読みきった。
 著者は図書館のことをちゃんと勉強した人だと思った。おそらく、大学の司書課程を受講したのか、司書講習で学んだ人だろうと思う。図書館の利用者では描ききれない問題もキチンと述べている。小説だから、図書館学の教科書のようには書けないけれども、大学で司書課程を学び始めた学生に読ませて、感想をレポートに書かせたいと思った。

 5つのエピソードが季節を追って描かれている。ちょうど秋から冬、早春へと今の季節にピッタリの内容になっている。読むなら、今だ。
 ちょっと、残念だったのが、4話目の雪女の話が図書館にからまないことである。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の『雪女』の話とからめて展開したら、面白かったかもしれない。

 最近、TRCの見学に行って、そのとき図書館がテーマになっている本を紹介してもらった。その一つがポール・スチュアート著『崖の国物語』1巻〜8巻ポプラ社。11月に最新刊の8巻が刊行されたばかりのファンタジー小説である。1巻から読み始めたけれども、図書館とか、司書の話が登場するのは5巻あたりからで、辿り着くまでに時間がかかりそう。
 ポール・スチュアートとあったので、紳士服のブランド?と思ったけれども、著者はイギリス人だった。紳士服のブランドのほうは、アメリカのクラシックな型で、Falconが愛用している。
 ちなみに『崖の国物語』の「崖」は「がい」と読む。「がけのくに」ではない。物語では、本当に崖ップチにある国が舞台になる。図書館が空に浮遊した岩の国にあり、学者たちの闘争の舞台になっているらしい。なんだか、身につまされる話だ。図書館も、大学も崖っプチに立たされていることを象徴するような話である。
 まだ、読みはじめたばかりで、これからの展開が楽しみである。

02:21:50 | falcon | comments(0) | TrackBacks