November 22, 2007

大学の専任教員も辛いよパート2

 今、どこの大学でも学期末に授業アンケートが実施される。しかも「匿名」で学生たちから評価され、自由記入欄に「書き込み」される。それらは回収されて、ほかの教員や大学職員の目に晒される。
 どんなに努力して素晴らしい講義ができたとしても、必ず数名はいわれのない理不尽な中傷を書き込む。
 (学生A)「眠っていたら、私だけ注意した。いちいち注意すんじゃねぇよ。人格破綻者!」(Falconの本音:起こしてあげただけなのに)
 (学生B)「質問しようとしたら、質問できる雰囲気じゃない、教員として最低!」(Falconの本音:質問してくれと言っても、質問しないじゃないか!これじゃ、話にならないヨ)
 これはまだ、序の口。想像を絶する書き込みがある。教員がシラバスを丁寧に書いても、全く見ないで、指定した教科書を買いもしないで、単位をくれ!しか言わない学生がいる。授業アンケートは、大学公認推奨の「2ちゃんねる」だ。ネット書き込みよりも悪質な書き込みを、わざわざ大学の経費を使って学生にさせている。それだけではすまない。さらにネット上の裏シラバス、ブログ、2ちゃんねるに書き込みされる。大学当局は学生の言い分に耳を傾けるが、教員の申し開きには聞く耳を持たない。
 そんなにひどい惨状なら、わざわざ大学の経費を使って、授業アンケートをする必要なんかあるのかと思う。しかし、大学に設置された自己点検・自己評価委員会から、強制的に授業アンケートするように指示される。しないと、問題を隠しているのではないかと嫌疑をかけられる。
 「清く、正しく、美しく」なんて、理想の研究者生活を望むべくも無い。ひたすら汚れ役に徹するしか道は無い。

 Falconはもうすっかり耐性ができたし、授業アンケートに書き込みされないように、注意深く講義している。おかげで、最近はアンケートでも、ネット上でも絶望的な書き込みはない。
 しかし、教員本人が慣れたところで、解決しない。授業アンケートは大学当局が見ている。99人の学生から好評得ても、一人の学生が非難すれば、大学当局は、その教員に必ず目をつける。
 (職員A)「先生、一人や二人、変な学生はいますよ。気にしてたら、何もできませんよ」
 下手な慰めはよしてくれ、その目は人格破綻者を見る目じゃないか!
 (職員B)「先生、たった一人の学生でも慕ってくれたら、教員としての冥利に尽きると思いますけど」
 えーい、どいつもこいつも、人の気も知らないで!完全主義者のFalconの心はズタズタなんだよと、涙を流して、暴れたこともあった。

 さらに、入学試験の時には、職員以上に小間使いのようにこき使われる。勿論、入試手当は出る。しかし、何度経験しても、草臥れる。2日、3日間は何もヤル気が無くなる。

 専任になればなるで、教授会、委員会など、さまざまな校務が押し寄せてくる。

 以前は休講しても学生から歓迎されたし、補講の手立てもしなくて良かった。今は休講したら、その分、補講をしなければならない。しかも、補講期間は短く、都合のいい日は権力のある先生に押えられて、挙句の果てに、学生たちに十分な講義ができずに終えてしまうこともある。

 研究費だって、今は一銭でも無駄な使い方はできない。Falconは大学の職員をしていたから、そんなのは身に沁みて解っている。大学教員の場合、自分の趣味が昂じて、研究者になったようなものだから、趣味と研究を区別して、図書を買い分ける芸当は完璧にできない。そこで、Falconはできるかぎり研究費を無駄遣いしないように、自分の小遣いで図書を購入している。ところが、研究費を余らすと、研究をまったくしていないと勘違いされる。

 この本のおかげで、ますます、ポスドクたち、オーバードクターたちは、我々、日々努力している大学の専任教員を既得権益にしがみつく「悪」と見なして、虎視眈々と付け回すじゃないか!

 高い年収をもらって、楽していると勘違いされたら、本当に困る。

 高学歴プアの方々の気持ちは、痛いほど解る。Falconは大学を卒業してから数年間フリーターをしていた。その時の辛さは、今でも、思い出すと悲しくなってくる。なにしろ、空気を吸うことすら、辛かった。親、親戚、親しい友人たちからも見離され、アルバイト先でも蔑まれて、何度、図書館職員の道を諦めかけたか、解らない。余りの辛さに歩けなくなり、道にうつ伏したこともある。それでも、導き支えてくれた人たちがいた。今の人生があるのも、その人たちのおかげである。

 どうか、水月昭道さん、今度は公平な目で考えて、書いてほしい。書いてくれたことに不満は無い。むしろ、こうした指摘を早く欲しかった。
 日本は、若者を虐待して搾取しすぎている。机にしがみついて、高い年収を貪っている官僚たちが、年功と地位を振りかざし、若者の肉体も、精神も、未来も奪っているという指摘には、大いに賛成する。
 戦争や抗争、暴動は困る。しかし、公の場で若者の意見をもっと反映させて欲しい。
 学生たちに告ぐ、その場その場の気の紛れから教員の悪口を匿名で書くくらいなら、正々堂々と社会の悪を非難しろ!それだけの高い見識を持て!

21:28:25 | falcon | comments(1) | TrackBacks

大学の専任教員も辛いよ

「高学歴ワーキングプア」を読んで、残念に感じた。
読み始めは、納得できる点があった。しかし、大学の専任教員は高い年収を得ていながら、週3日だけ働き、研究費は使いたい放題と書かれるに及び、いささか心外に感じた。また、若い研究者がせっかく苦労して博士号を取得したのに、博士号のない大学教員に評価されて、不採用になるのは理不尽と述べているのも、同感できない。著者の水月氏が述べているように、平成3年以降、院生の粗製濫造になった。博士号を取得したくとも、できなかった時代に大学教員になった人と、努力すれば博士号を取得できる人を比べて、訴えられても、現役の大学教員としては承服できない。粗製濫造された博士号でも、高く評価するべきなのか。
指導教員が亡くなって博士号取得を諦めた人のエピソードがあるが、指導教員以外の教員が評価できる内容でなければ、価値ある論文と言えない。指導教員のみが評価して、博士号が取得できるなら、不正に馴れ合いで取得できた場合もあると勘ぐりたくなる。Falconは修士号を取得したけれども、論文は主査1名と副査2名の先生が審査してくれた。指導教員1人だけしか審査できないなんて信じられない。
第二弾として、公明正大な姿勢で執筆してほしい。次回作に期待します。



16:21:16 | falcon | comments(1) | TrackBacks