November 21, 2007
本当は怖い大学院教育:荒野に底なし沼
あー、読みたくなかった。出版してほしくなかった。怖すぎる。恐ろしすぎる。ヤメテー!
ブログ「できごと記」をみて、直ちに購入しました。
「エクソシスト」「13日の金曜日」「エルム街の悪夢」「ゾンビ」「キャリー」「ペットセメタリ―」よりも怖い!
「ゾンビ」より怖い、大学院生たち。死んでいるのか、生きているのか。手足を硬直させて、あても無く彷徨い、生きている大学教員と見れば襲いかかる。
いや、大学院生から見れば、大学教員のほうがゾンビだ。学費も時間も奪い取り、精根尽き果てるまで、発表とレポートを課す。
ゾンビとゾンビの絡み合い。
大学に身を置く人間としては、ここまで書かないでほしいと著者に泣きすがりたいと思う一方で、もっとイジメテーと歓喜のうめきをあげたくなる。危ない表現になりすぎた。
ニートになりきれない若者と、退職したオジサン・オバサンが、何も知らずに、ドアを開ける。ゾンビのお出迎えだ。やがて、自分もゾンビになる。ある大学院は、高齢者ばかりの老齢大学院「養老院」らしい。
勿論、専門職大学院は様子が違う。帰る職場がある人は幸いである。
帰る職場の無い人たちがゾンビになる。
Falconが大学院に入学した時代は、二流の大学院でも、英語、第二外国語、専門の試験があり、研究計画書に基づく面接試験があり、身も心もヘトヘトになって試験を受けた。ところが平成3年からは大学院生の倍増計画が実施されて、大学院生は急増。大学の設置基準が甘くなる。誰もが望めば、研究計画と学費さえ払う保証があれば、学究の道が開けた。ちょっと見、明るい未来が開けた。しかし、少子化が進む中、大学と学部は年々増えるばかり、その一方で大学の教員の採用は少ない。現場の教員は非常勤で兼業状態。学生のレベルは低下する一方で、奥行きの無い暗闇地獄だ。
自分自身も大学院にいたし、身近に大学院に在籍している人もいる。だから、陰惨な状況を書き連ねるのは辛い。だが、著者・水月昭道氏が描き出す地獄は、ボッシュが描いた絵画よりも迫力がある。
夏目漱石は文部省からの博士号を辞退した。
漱石はどう思うだろう。
Falconは、偉そうなことを言うわけではないが、漱石同様、別に肩書きなんか、どうでもいいと思っている。尤も、博士号を頂けるほど業績は無いし、自分の身分を忘れてしまっているほど、気負いもなく、適当に生きている。ゾンビの餌食になりたくないし、ゾンビになりたくない。もう、ゾンビかもしれない。気がついていないだけだ。 [more...]
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falcon |
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