May 30, 2006

図書館職員の健康管理

 「図書館職員はプールの監視員」という記事でも触れたように、図書館職員は世間の人が思っているより、ハードな仕事をしています。
 肉体的にもかなりハードです。何よりも本は重い。文庫本1冊、新書1冊は軽いけど、これが10冊になるとかなり重い。それだけ著者の想いが込められているから、なんちゃって!返却された文芸書の単行本を書架(図書館の本棚)に戻すとき、自分の肩の高さよりも上の棚に戻すのを何回も繰り返すと、相当負荷がかかります。なので、以前ある図書館で、中高年の職員たちが肩や腰を痛めて、入院・療養したこともあります。ブックトラックで運ぶのだって、力の入れ方次第で、腰に負担がかかる。SkinyなFalconが言うのもなんですが、図書館職員には体育会系の人材がほしいのです。(Falconは、図書館職員をしていない今になって、体を鍛えています。)
 精神的にもかなりキツイ仕事です。まず、利用者への接客態度が問われます。さまざまな人が訪れます。公共図書館では、子どもから高齢者まで、いわゆる社会的な弱者と思われている人も少なくない。大学図書館では、本の探し方がわからない大学生たちから、図書館職員のアドバイスも聞かずに解った振りをする教授たちまで、最近では大学図書館が地域に開かれていますから、地域の人たちと大学生や教職員との間でのトラブルの仲裁役もしなければならない。ボランティアの人を悪く言うつもりはありませんが、時として、長く来てくれているボランティアの人が、職員の一挙手一投足をジーッと見ていることもある。 [more...]

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May 29, 2006

博士の愛した数式

やっと、映画を見てきました。
本は既に読んでおりました。

 実は、Falconは本を読んだ時に配役を考えていました。
「博士」は石坂浩二さん、
「博士の義姉の老婦人」は岸田今日子さん
主人公の「家政婦さん」は松嶋菜々子さん

 映画の配役も悪くなかったですよ。
 ただね、「ルート」が大人になって数学の先生になって、
吉岡秀隆くんが演じているのだけど、話の合間に、教室で
教えている光景が挟まって、話が中断してしまい、一連の
つながりが無くなってしまうのが、残念でした。
 それから、博士役の寺尾總さんが「私の記憶は80分しか
持たない」と思いつめたように言うのは、必要なかった。
黙って、飄々と演じてほしかったなあ。
 そうそう、図書館の場面が出てきます。
 義姉役の浅丘ルリ子さんは、もう少し嫉妬したり、色気を
感じさせてくれると、良かったかもしれない。ちょっと大人
しく演じていましたね。

 そういえば、2月頃、地下鉄に乗っていたら、前に座って
いた60歳くらいのおじさんとおばさんが、この映画の話を
していて、おじさんが「寺尾總が80分しか生きられないって
言う映画みたいなあ」と言っていたので、Falconは笑いこけ
そうになりました。80分しか生きられなくて、蘇えっていたら、
ゾンビ映画だよ。せっかくの小川洋子さんの珠玉の作品が
台無しじゃないか。

 本で読むのもいいし、映画で見るのもいいし、DVDで見る
のもいい、ホッとしたい時にオススメの作品です。

22:24:00 | falcon | comments(0) | TrackBacks

May 23, 2006

DHCって何?

 このブログで1月に紹介した『砂の王国とクローンの少年』の出版社のDHCと、叶美香さんが出演するテレビのCMでお馴染みのサプリメント販売会社のDHCが関係しているのか、ずーッと気になっていました。
 先日、金曜深夜(もう土曜日になっているけど、良い子のみんなは寝ている時間だよね)にテレビ朝日で放映されている「爆笑問題の検索ちゃん」を見ていたら、問題に「DHCのHは何の意味?」という問題が出て、解答を知ってスッキリしました。DHCは「大学翻訳センター」の略で、Hは「翻訳」のことです。もともとは外国書の翻訳を手がける出版社でしたが、今ではサプリメント販売で名が売れています。
 「爆笑問題の検索ちゃん」は、インターネットのWebpageから問題を出題する深夜の雑学番組です。芸能人の暴露ネタから高尚な問題まで、幅広い問題が出題されるので、かなりのめりこみます。「タモリ倶楽部」の後の番組で、Falconは疲れた頭で、ぼーっとしながら、「へー」を連発しています。
 DHCから、TRC(図書館流通センター)を連想してしまいました。

02:37:56 | falcon | comments(0) | TrackBacks

May 22, 2006

図書館職員は、プールの監視員みたいなもの

「図書館司書になったら、本に囲まれて、本がたくさん読めますよね。わたし、本が好きだから、司書になりたいです」
 図書館司書課程を受講する学生から、よく聞かれる言葉です。
 君たち、考え方が甘い!
 いや、私自身に向けていうべきです。自分の考え方が甘かった。
 私も、何を隠そう、本が好きだから、図書館職員にあこがれて、目指しました。しかし、想定外!実際に大学の図書館で働いていたとき、本を読む時間はありませんでした。図書館職員には、本をゆっくり味わって読む時間は、まったくありません。仕事に必要なので、本を読むこともありますが、勤務時間中に読む時間はほとんどありません。読むというより、目を通すというのが的確な表現でしょう。
 そこで、Falconは「図書館職員はプールの監視員」と説明しています。まるで、「笑点」の大喜利の謎掛けみたいですが、その心は、「ともに好きなことをしていたら、仕事になりません」。泳ぐのが好きだから、プールの監視員をしても、監視をするのが仕事で、自分が泳いでいたら、仕事になりません。かといって、泳げないと、利用者が溺れたら、助けるために泳げなければならないから、困る。休憩の時間に、プールの点検をするために泳ぐし、ときには、利用者への泳法指導もする。なので、監視の仕事以外の時間、練習は怠れない。実に図書館職員と重なるところがあります。

 Falconは、泳ぐのが好きで、最近は体力が落ちてきたので、プールへよく行きます。今年になって、千駄ヶ谷の東京体育館をはじめ、公営プールが指定管理者制度を取り入れて、民間のスポーツジムを経営している会社へ業務委託を始めています。そんなところも、図書館職員とプールの監視員は似通ってきました。公共図書館にも、じわじわと指定管理者制度(「指定監視者制度」は誤りでした。誤りにしても、洒落がきつかったかもしれない)が広がり始めているのです。

14:33:57 | falcon | comments(0) | TrackBacks

May 14, 2006

溜飲が下がる究極のボランティア論!

 新聞の書評を読んで、すぐに本屋に駆け込みました。

 池田清彦著『他人と深く関わらずに生きるには』(新潮文庫)
 2002年に単行本として出版され、文庫版に。

 養老先生の『バカの壁』以来、痛烈な人生訓って、はやっていますよね。これもその一つ。著者の池田先生は生物学の先生で、『新しい生物学の教科書』を以前読みました。わかりやすく生物学の最先端を解説している本です。

 文庫版の「ボランティアはしない方がカッコいい」65〜74ページ、これだけ読むだけで、この本の価値があります。
 介護実習を義務づけた田中真紀子さんを「バカで卑怯」と言ってのける。Falconは、田中真紀子さんを人間的に憎めない素敵な人だと思っていますけど、介護実習を教職課程受講の大学生に義務づけた点だけは、政策として無意味だったと思います。たぶん、著者の池田先生も同じご意見だと思います。不自由を感じている子どもや高齢者の気持ちを、バスや電車で騒ぐ失敬な大学生が解って、お世話できるはずがない。戸惑って、おろおろするだけで、現場の施設の人には迷惑この上ないだろうと思います。Falconの身近に、不自由を感じている人がいましたから、施設の人の気持ちがわかります。

 学校図書館へやってくるボランティアの方々は、「正しい行為を行なっている」と信じ込んでいる「善意」の人たちが多い。真紀子さん同様、人間的には魅力のある人も少なくない。「読み聞かせをすると、子どもたちが目をキラキラと輝かせて、活き活きとしてくる。その子どもたちの姿を見るのが私たちの生きがいです」ボランティアの人たちから、こんな言葉を聞きます。確かに数人の子どもは、お話に耳を傾けているでしょう。大半の子どもたちの本音は「嫌な授業をしなくて良いのだから、聞いている振りして、付き合ってやるか」ですよ。Falconは体育が大の苦手で、雨で校庭が使えなくなって、体育をやめて、先生が読み聞かせしてくれたら、それだけで大喜びでした。お話を聞いているだけで、楽しいのですから。 [more...]

23:37:12 | falcon | comments(0) | TrackBacks