February 26, 2006

図書館戦争

 有川浩著『図書館戦争』(メディアワークス)を,
関係者の皆さんはもう読みましたか?
 Falconも,図書館関係者のはしくれとして,違和感を伴なって
一応読み終えました。
 いくつか問題点が残ります。
 現実の図書館と変えているという設定についての言い訳や,
軍隊ごっこや恋愛ごっこに現を抜かす図書館員(?)たちの行動と言動,不服な表情と叫ぶことしかしない主人公の単純直情的な性格は論ずる意味がありませんが,
 図書館の自由に関する宣言(1979年改訂)の主文の4は,
この小説に書かれた「図書館はすべての不当な検閲に反対する」ではなく,「図書館はすべての検閲に反対する」です。これが著者の意図的なものなのかはわかりませんが,不勉強によるものならば,失笑,噴飯ものです。
 また,検閲という言葉を安易に意味を履き違えて使っていることに違和感を感じています。
 近未来小説なので,現実と違うという言い訳に,仕方なく納得しなければなりませんが,もう少し図書館の本質を突くような内容を期待していました。
 真面目に努力している図書館職員をおちょくるような小説は,今回だけにしてほしいですね。

04:04:20 | falcon | comments(7) | TrackBacks

February 14, 2006

論理的に考えること

 最近、ロジカル・シンキングとか、ロジックとか、論理的ということばを耳にします。
 「論理的」と言われると、難しいことだと、つい身構えていませんか?
 さっきまで、ああでもない、こうでもないと、取り留めもない話をしていて、突然、「あなたの話は論理的でない」と言われたら、頭が真っ白になって、言葉が出ません。いっそ、「馬鹿」と言い切ってもらったほうが笑い返せる気がしますね。

 論理的というのは、そんなに難しく考えなくても良いんです。
 物事を関係づけること、その関係づけに意味をもたせることです。
 たとえば、「空が曇ってきた」「今日は冷える」ということを組み合わせて、「雪が降りそうだ」と推し量ることが、論理的に考えることになります。

 論理とは何か、それを明快に教えてくれた図書を紹介します。今でもひそかなベストセラーで息が長いなあと思っています。
 野矢茂樹著『論理学』東京大学出版会 1994
 野矢茂樹著『論理トレーニング』産業図書 1997(哲学教科書シリーズ)
 野矢茂樹著『論理トレーニング101題』産業図書 2001

 読みやすさから言えば、最後の『〜101題』をオススメします。ずばり言えば、接続詞(そして、しかも、しかしなど)の使い方から、論理的な考え方が学べます。最初の『論理学』は、やや難しいので、Falconも読みあぐねています。

 小説や物語を読むときにも、論理的に、つまり物事を関係づける考え方が必要です。感覚的に理解するとか、想像力を養うとか、空を掴むようなことを、いつまでも言っている人がいますが、意味がありませんね。  [more...]

00:06:15 | falcon | comments(0) | TrackBacks

February 11, 2006

古文ハッケン!伝

今年は戌年です。
新春ドラマで「里見八犬伝」をやっていましたね。
大河ドラマ「義経」で頑張っていたタッキーが出ていたので、
Falconも見ました。
Falconの世代は、NHK「新・八犬伝」を、学校から帰ってきて、
夕飯の前に見ていたことを、懐かしく思い出します。
坂本九さんの語りと、辻村ジュサブロウさんの人形が織り成す
痛快伝奇時代劇にワクワクしていました。

子どもの頃、子供向けに翻案された「里見八犬伝」を読みました。
最近、岩波文庫の「南総里見八犬伝」を読み始めました。と言っても、
文庫本で十巻ですから、読み切れるか、全然自信はありません。

久しぶりに古文を読み始めて、こんなに理解しやすいのか、
と驚いています。
一応、大学で源氏物語を読んで卒論を提出したのですが、
今では、まともに読めません。
高校の教科書に載っている古事記、万葉集、土佐日記、平家物語は、
古文の中でも難しい内容が多いです。
そこへいくと、江戸文学、特に、「八犬伝」の作者、滝沢馬琴の
頃になると、現代に近い言葉遣いになってきます。
馬琴は流行作家ですから、ストーリーは滅茶苦茶上手い。
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01:48:35 | falcon | comments(1) | TrackBacks