February 28, 2012

ちょっと待った!佐藤優さんに物申す

 3日前、電車に乗っていたら、中づり広告の「図書館司書」の5文字に目がとまった。日常生活で「図書館」の3文字を身近に見ることは無い。もちろん、Falconは専門としているから、気になって仕方が無いけどね。

 「ねえ、ねえ、『図書館戦争』の中づり広告は、よく見かけるよ」

 ああ、あれね。たしかに一般の人に図書館を印象づけるのには役に立ったと思いたいけどね。

 『週刊新潮』3月1日号、「「図書館司書は出版社・書店でご奉公」の記事。
 (誰が書いたのかな?)と目を凝らすと、書いたのは佐藤優氏、
元・外務省主任分析官の人だ。

 早速、電車から降りて、駅の近くのコンビニエンスストアで、雑誌のスタンドに立ちつくす親子連れの間を割って、『週刊新潮』を買い求めた。見開き44ページと45ページにまたがる、分量としては1ページ程度の記事だった。
 読んでみると、林望さんの「図書館は無料貸し本屋か」とほとんど論調は同じ。図書館でベストセラーを大量に貸すから本が売れなくなる。「皮膚感覚」として、本が売れない悲惨な現状を認識するために、書店や出版社でちっとは働いてみろ!という。佐藤氏独自の論としては、貸出回数の少なくなって、図書館が廃棄した専門書が新古書店やネットの古本屋で売られて、信じられない安値で手に入った経験を披露して、専門書の価値がわからない「基礎教養のない人が図書館司書をつとめているから」学術書・専門書の大量廃棄が行われているのだろうと推察している。

 実は、Falconは大学在学中から卒業後1年間、取次店の図書館サービスの部署でアルバイトとして働いた経験がある。働きながら、夏の司書講習で資格を取得した。書店や取次店のことを知っておくことは、図書館司書になるのに大切であり、重要であることは身を持って経験しているので、佐藤氏の意見に賛成する部分も持ち合わせている。図書館情報学の大学院を出て、現場の経験もなく、理論だけ振りかざして、生意気なことを言っている同年代の大学教員を見るとムカムカしてくる。

 一歩だけ譲歩して、佐藤氏に敢えて物申す。
 図書館がベストセラーを大量に購入して貸出しているというのは、林望氏がエッセイを書いたころとは少し状況は違ってきている。図書館の資料購入費はバブル経済へ昇り詰める1980年代後半から、その余力が残っていた1990年代までは高い水準にあったけれども、2000年以降は資料購入費は著しく落ち込み、同じタイトルの本を複数そろえる、つまり複本も買えない。
 それから、根本的な問題なんだけれども、佐藤氏は図書館職員が自主的に、自発的に、主体的に選書をして、ベストセラーを大量に貸し出していると思っているようだけれども、本当のところは図書館で図書・それ以外の資料の内容を吟味して選書をしていない。まるっきり選書していないと言うと言い過ぎであるが、予算の資料購入費とにらめっこして、利用者の興味関心を勘案して、ギリギリの状態でバランスを取って購入している。

 「図書館の自由に関する宣言」では、「図書館は資料収集の自由を有する」「図書館は資料提供の自由を有する」と述べている。これを真に受けて、図書館は利用者の求めに応じて、選書もせずに、なんでもかんでも提供すれば良いんだと思っている人がいるけれども、「自由宣言」は外部からの圧力に対して抵抗するためのもので、選書を妨げてはいない。

 問題をもう少し掘り下げれば、発売と同時ぐらいに新刊書が図書館に並んでしまうのが気に障るだろう。昔は、正確に言えば1970年代から1980年代前半までは、図書館に新刊書が並ぶのが遅かった。なにしろ、カード目録を作成していたからだ。国立国会図書館やに日本出版販売などが頒布する印刷カードがあったけれども、カード目録をケースに排列するだけでも大変だった。分類記号を付与するにしても図書館司書が苦心して分類していたので、新刊書が書架に並ぶのが早くても3週間はかかった。大学図書館では数か月かかった。レポート・卒論に必要な図書でも、提出期限ぎりぎりに、読めたこともよく起こった。
 いまでは、機械可読目録MARCの登場と、取次店や納入業者による分類作業・装備の効率化で、新刊書があっという間に図書館に納入されて排架されている。図書館に罪が無いといえば、佐藤氏も腹の虫がおさまらないだろうけど、図書館を取り巻く状況が大きく変わっていることは認識してほしい。
 図書館司書、司書教諭など図書館の専門職が、分類も目録も真剣に考えなくなったので、資料について知識が無くなったのは事実で、佐藤氏にバカ呼ばわりされても否めない。

 はっきりいえば、佐藤氏は図書館について思慮が浅い。
 それにしても、極論とはいえ、図書館の問題を考える上で、一つの切り口になる

 

03:39:22 | falcon | comments(0) | TrackBacks

February 20, 2012

『新八犬伝』をハッケンしてくれ!

 日曜の午後、あまりの寒さに震えて、こたつの中にもぐりながら、テレビを見ていたら、なんと、あの懐かしい、「玉梓が、怨霊〜ょぅ」が聞こえてきた。
 NHKアーカイブで『新八犬伝』を紹介していた。
 桜井洋子アナウンサーが司会を務め、林家正蔵師匠(どうも、こぶ平さんのほうが似合っている)がゲストで登場していた。

 懐かしさのあまり、涙がこぼれそうになった。おそらく40歳代後半から50歳代までの人なら、当時、小学生だった人なら、夕方テレビにくぎ付けになったはずだ。たしか続けて『タイムトラベラー』(原作は筒井康隆さんの『時をかける少女』)が放映されていたと思う。そういえば、池上季実子さん主演の『スペードの女王』って言うドラマもやっていたよね。

 NHKには『新八犬伝』のテープが4本しかないそうだ。当時はテープが貴重で、放映するたび、上書きして録画したために、そのとき見た人の記憶にしか残っていない。ああ、残念無念。

 飛行機事故で亡くなった坂本九さんの名台詞、名調子もすべては残っていない。坂本九さんは、歌手だけでなく、多芸多才な人だったんだなあと思う。

 関東地方では茨城県で地震があったため、地震速報が入り、番組の最後が地震を伝えるニュースに切り替わってしまった。
 番組でも、呼びかけていたが、もし記録していた人がいたなら、名乗り出て、ぜひNHKに提供してほしい。
 今では、全く考えられないことなんだけれどもね。
 映像情報のなんて、はかないことなのか!

01:30:31 | falcon | comments(0) | TrackBacks