January 30, 2012

リメイク

 むかしむかし、宇宙のある星で、人間と猿がオナラをしました。さて、どっちが臭かったでしょう。

 「えっ? 人間?」

 猿です。猿のはクセー、猿の惑星。

 「Falconさんの座布団、持って行って!本当に下品だねぇ、キクちゃんより、ひどいよ」

 そんなこと言ったって、昔、木久蔵さん、今の木久翁さんが言っていましたよぉ。

 では、真面目な話ですが、昨年も新しい映画の着想になりましたし、ハリウッド映画でお馴染みの『猿の惑星』の原作を日本十進分類法で分類すると、記号はどうなるでしょう。

 「アメリカでしょ、英米文学だから、933で決まり!」

 ブッ、ブーー、不正解です。

 「うん、もーっ、さっきから、オナラだの、ブッ、ブーーだなんて、本当に下品だねぇ、わかってるよ、どうせ、あんたのことなんだから、フランス文学だろっ、953だね」

 そうです。原作はフランスの作家ピエール・ブールの作品なんですね。原作では主人公がオリオン座のベテルギウスへ探査の旅をするんですね。ちょうど、今日1月30日が、ピエール・ブールの命日です。また、今年は作者の生誕100年です。
 ちなみに「猿」は第二次世界大戦中の日本兵をなぞらえているそうです。日本兵が連合軍の捕虜を過酷に扱ったことを皮肉ったらしいのです。日本人としては釈然としませんね。
 でも、チャールトン・ヘストン主演の映画は、名作だと思います。まだ、コンピュータ・グラフィックが無かった時代に、あれだけの大作が良くできたと思います。最後のどんでん返しは、今、思い返しても、痛烈な文明批判になっていますよね。

 「じゃあ、さあ、日本人のオナラが臭いって言うこと?」

 えっ? そこまでリメイクしなくても・・・・・・

22:25:29 | falcon | comments(0) | TrackBacks

January 29, 2012

資格社会のフランス

 3年前、IFLAミラノ大会でフィレンツェに立ち寄り、図書館に関する本を買い求めたときのエピソードを憶えていますか。
 書店員の人に尋ねたら、即座に図書館学の本のある書棚に案内してくれて、注目の本、基礎的な本を紹介してくれました。このとき買ったのが、昨年、日本でも翻訳された『知の広場:図書館と自由』です。まるで図書館司書のような対応に、呆気にとられました。

 イタリアではありませんが、フランスでは書店員になるためには資格が必要です。しかも、図書館司書と同様の科目を履修して、書物に関する知識と技術を身につけなければなりません。資格があったほうが良い程度ではなく、資格が無いと書店員にはなれません。おそらく、イタリアでも同様の制度があるのでしょう。書店員は立派な専門職です。日本は、その点、誰でも書店員になれる「職業選択の自由」がありますけど、専門職としての地位を保証する制度が未熟です。

 書店員になるのに資格が必要!くらいで、驚いていられません。フランスは、ほとんどの仕事につくためには資格が必要です。リセ(普通科高等学校)を卒業するときに取得するバカロレアは、大学に入学するために必要な資格と思われていますが、それだけでなく、社会の中で職業に就くために必要な資格です。もちろん、小学校卒業の修了証書も、コレージュ(中学校)卒業時の修了証書も、社会で就職するための資格として立派に機能しています。もっとも、小学校は義務教育ですから、卒業時の修了証書はコレージュへ進学するためのパスポートですけどね。職業リセ(職業高校)、農業リセ(農業高校)での職業バカロレア、農業バカロレアも就職するための資格です。

 日本の図書館では資格があってもなくても、余程のことが無いかぎり、待遇に差を付けることがありません。
 それに学歴社会と言っても、公務員試験で学歴で差別されることはありません。国家公務員I種試験を高卒で志願しても受理されます。だから、日本では大学院修了したところで、特別扱いされることを期待するほうが愚かなんです。はっきり言えば、バカそののもと言いきっても良い。

 フランスは明確に学歴と資格にこだわります。学歴と言っても、どこの大学を卒業したかは問題なく、大学で何を学んだかが重視されます。しかしながら、グランゼーコール卒業と、大学卒業とは歴然と区別されます。日本のように東京大学、京都大学、東北大学などの旧帝大、慶応義塾大学、早稲田大学、立命館大学、同志社大学などの有名私立大学を卒業した人が異様に優遇されるということは、フランスではあり得ません。フランスでは何を学んだか、資格はあるかが重要です。
 さらに言えば、日本では東大を卒業したと言うだけで、「七難隠す」ようなことが起きますが、フランスではいくら学歴が立派でも、人柄が悪ければ、最低ランクの人間として扱われます。日本だろが、フランスだろうが、学歴が立派で、人柄が悪いというのは、どう考えても屈折した異常な人間としか思えませんけどね。日本には、学歴を鼻にかけて、態度の悪い人間が実際にいます。

 フランスが資格を重視するのは、フランス大革命で身分制度を廃止して、法のもとでの平等が謳われたので、身分に代わる、社会の中での存在理由のためだと考えられます。この問題は社会学として、興味深いと思っています。

23:29:32 | falcon | comments(0) | TrackBacks

January 23, 2012

フランスの大学は3年で学士号

 東京大学をはじめ、いくつかの有名大学が秋入学を検討している。
 4年制大学に秋入学となると、3月に高校卒業してから9月に大学入学までの約5カ月、7月に大学卒業してから、4月に入社・就職までの9か月が空白になり、現行の4月入学の大学の学生に比べると、約1年オーヴァーする。
 そこで、ワイドショーや報道番組で、現役の大学教授や、大学で教えているタレント講師などが、「その間、海外留学すればいい」とか、「海外ボランティア活動すればいい」とか、「読書すればいい」とか、お屠蘇気分で、能天気で呑気なことをコメントしていた。
 読書することには賛成である。就職したら、じっくり本を読めなくなる。マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』なんて、読みたくても、読む時間が無いし、気力が萎える。
 だが、よく考えてもらいたい! 今、東日本大震災で国全体で一丸となって復興対策を考えている中、平成大不況、福祉目的の増税が叫ばれている現状で、わが子を海外へ留学させられる保護者がどれだけいるだろうか。海外ボランティア活動ができる余裕を持った若者がどれだけいるだろうか。ユーロ安、ドル安で、超円高であっても、海外留学なんて、もってのほかというのが現状ではないか。それに海外に行かなくても、日本で十分に学ぶことができる。日本の科学技術は世界でもトップクラスだし、文化芸能だって世界中から注目されている。日本の若者が海外へ留学しなくなったのは、経済的な問題もあるが、情報通信技術のおかげで、海外の情報が容易に入手できるし、海外は観光以上に魅力が無いからだ。アメリカに行きたいと思いを掻きたてられたのは、「アメリカ横断ウルトラクイズ」で福留さんが「ニューヨークへ行きたいか!」と叫んだときぐらいだったよね。
 そこで、現実的な提案をしたい。
 秋入学を検討するなら、大学の学士号はフランスのように3年で取得できるようにしてもらいたい。高校卒業後の5ヶ月間を受験勉強の期間にして、3年で大学を卒業して、大学卒業後の約9カ月を就職活動に当てて、なおかつ、早く就職が決まった者で経済的に余裕があれば、海外へ行けばよい。こうすれば、現行の4年制大学の学生と時間的な格差が生じない。

 実際、4年間大学に通っても、卒業に必要な単位は3年生までで、楽々と取得できる。さらに教職、図書館司書、学芸員などの資格課程を受講しても、多少無理してでも、3年で十分に取得できる。Falconは、教職課程と学校図書館司書教諭課程を大学で受講したが、3年生まででほとんど習得できた。しかも、卒業単位にならない第2外国語のフランス語の応用科目の授業や第3外国語としてロシア語の授業をとって、これらも卒業単位にならない他学部の授業を3科目「盗講」しても、問題なかった。4年生では、必修科目2科目と資格の科目2科目、教育実習、卒業論文だけだった。しかも、卒業論文は3年生までで書きあげており、4年生で加筆して、清書して、提出を待つのみだった。

 秋入学を実施するなら、3年間で学士号が取れる仕組みにするのが現実的である。

02:00:43 | falcon | comments(0) | TrackBacks

January 11, 2012

パリで泳ぐ2012年版

 今回もパリのプールで泳いだ。
 今回は気ままな一人旅ではなかったので、ストレスがたまった。それで、パリに到着した日の夜、宿泊しているホテルを抜け出して、パリのレ・アールのプールへ泳ぎに行った。
 プールについたのが午後9時ごろで、1時間くらい泳いだ。
 今年のフランスの冬は暖かい。プールで泳いでも寒さを感じなかった。

 訪れるたびに、少しずつ変化がある。
 入退館にカードを導入している。受付で入場料4ユーロ(約400円)を支払うと、カードを渡される。退館の時にカードを機械に差し入れなければならない。

 フランスでは個室で着替える。間違っても、ロッカーの前で堂々と着替えてはいけない。というのは、フランス人は人前で服を着替えてはいけないというマナーを厳格に守っている。たとえ自分の家で、家族の前であっても着替えてはいけない。子どもですら、親や兄弟姉妹の前で着替えてはいけない。
 それでFalconも個室で着替えた。

 ロッカーの番号と暗証番号で開け閉めをするので、鍵が無い。昔、黒人のお姉さんに荷物や服を預けたのが懐かしい。男子更衣室でも黒人のお姉さんたちやおばさんたちが預かってくれた。個室で着替えるから、局部を見られる心配は全くなかった。

 日本のプールでは男の水着はトランクス型やスパッツ型が多いが、フランスのパリのプールではビキニ型の競泳パンツが多い。

 「Falconさんは、何型なの」
 えっ? ビキニ型ですよ。そのほうが動きやすいからね。

 パリズィアン、パリズィエンヌはあまり水泳が上手でない。Rapideと表示があるコースで泳いでも、スローで、のんびり屋のFalconでもイライラしてしまう。

 とか言いながら、1時間泳いで1500mはたっぷり泳いだ。

 プールから上がって、パリの夜風に吹かれて、ホテルに戻った。


06:19:05 | falcon | comments(0) | TrackBacks

January 10, 2012

ナポレオン三世と学校図書館

 フランスから戻ってきました。

 今回は学校図書館の視察旅行でした。

 パリは犬のフン害が大問題で、法律でパリ市内の観光地区で、犬のした糞を放置しておくと、罰金を徴収されます。ですが、相変わらず、犬の糞は減らず、今回も何度も犬の糞を踏みそうになりました。

 もともとフランスにはトイレがありませんでした。
 ルイ14世が建てたヴェルサイユ宮殿にはトイレは無く、貴族たちの多くが庭の茂みで用を足していたと言われます。なかには宮殿の部屋や廊下の隅で用を足していたみたいです。それで、汚れた床の上を歩くときに、宮廷の女性たちがかかとを高くした靴を履いたのが、ハイヒールの起源と言われています。貴族たちの男たちもハイヒールを履いていました。事実、ルイ14世の肖像画を見るとハイヒールを履いています。
 ルイ16世のもとにお輿入れしたマリー・アントワネットは、オーストリア・ハプスブルグ家出身ですから、ウィーンでみっちり作法を身につけていたのですが、ルイ16世があまりにもガサツなので幻滅を感じたと言われます。ウィーンの宮廷にはすでにトイレがありました。マリー・アントワネットの母にして、帝国の元首マリア・テレジアは激務の中、椅子におまるを据え付けて執務したと言われています。ところが、ヴェルサイユ宮殿にはトイレが無い!、たまりかねた潔癖症で清潔好きのマリー・アントワネットはヴェルサイユ宮殿の自分の部屋にトイレを付けました。それで、付いたあだ名が「マリー・アントワレット」、お後がよろしいようで。

 で、話が終わりません。

 そもそも、ルイ14世がパリを嫌って、ヴェルサイユへ宮殿を移したのが、政治的には権勢をふるっている旧勢力から離れる目的もありましたけど、パリがあまりにもゴミゴミしていて、そのうえ、住民たちが道に排泄物を撒き散らして、不衛生だったからです。深夜、貯めていた糞尿を道に捨てていたのです。糞尿を回収する業者もいましたけど。

 でね、時代が下って、ナポレオン一世の甥に当たるナポレオン三世は、パリ市長オスマンに命じて、パリの大改造計画を行い、道を整備して、下水道を設置して、パリを清潔な都市に変貌させました。
 それでも、犬のフン害は無くなりませんでした。徳川綱吉が見たら、喜ぶでしょうね。パリは未だにお犬様を大切にしています。「生類憐みの令」が続いています。
 パリは犬のフンだけでなく、人口も多いのでいさかいが多く、人のフンガイも少なくありません。

 「え、何かあったの?」
 まあね、それは御想像にお任せします。

 それで、今回の旅行では鹿島茂著『怪帝ナポレオン三世:第二帝政全史』を読んでいました。
 無茶苦茶おもしろい著作です。



 実はこのナポレオン三世の時代に、初等教育法が制定されて、1862年に教育省令で、初等教育学校(小学校)に「学校図書館」が設置されました。学校図書館と言っても、政府から支給される本を設置する書棚を置いただけにすぎません。
 残念ながら、鹿島茂氏の著作では学校図書館について触れていませんが、その時代背景を知るには好著です。
 好色で、謎の多い、しかも、驚くほど近代的な開明な思想の持ち主、ナポレオン三世の魅力と、パリが繁栄を謳歌した時代を理解できます。



01:34:48 | falcon | comments(0) | TrackBacks