August 30, 2010

本を食べて生きる

 これまでもライ・ミュージックについて取り上げてきた。
 ライの帝王と言えばハレドだろう。若いころはシェブ・ハレドと名乗っていたが、シェブという語が若者を意味するらしいので、さすがに中年になって、シェブと名乗るのも恥ずかしく、今ではハレドと名乗っている。張りのある歌声は変わっていない。
 ライのプリンスといえば、シェブ・マミだった。日本でも、伊藤英明主演のドラマ『夜叉』(吉田秋生の原作だったよね?)のオープニング曲を、スティングと一緒に歌っていたのを覚えているかな?日本でライ・ミュージックがメジャーで知られるようになったのは、あれが最初だったと思う。その前にも、NHKでシェブ・ハレドが紹介されたり、FM放送でちょこちょこ紹介されていた。シェブ・マミは恋人(?)に対する暴行容疑で拘束中らしく、最近活動していない。あの高音の魅力が味わえないのが残念だ。

 随分前になるけど、アラブ映画祭で上映された映画に歌手のフォーデル君が出演していたのを書いたよね。覚えている?
 フォーデル君は、ハレドとラシッド・タハと一緒にコンサートをして歴史的成功を収めた。いまや、ライのプチ・プリンス、いや、ライのプリンスと言えば、彼だ。
 そのフォーデル君、彼もおじさんに近づいているので、君付けは止めにして、フォーデルの歌う"Je veux vivre"が気に入っている。タイトルは『僕は生きていたい』と、直球勝負の歌である。歌詞を日本語に訳すと、実に明るく、超前向きで、歯が浮きそうなくらい品行方正な内容だ。
 その出だしは直訳すれば、僕はすべての本を食べるために生きていたいとなる。意訳すれば、あらゆる本を食べつくすために生きるんだとなる。

 国民読書年の今年、CMで読書を勧めているけれども、このフレーズ、なかなか強烈な印象を残す。

 FaudelのJe veux vivreだからね!

00:23:04 | falcon | comments(0) | TrackBacks

August 28, 2010

『セクシィ古文』



 電車の中で読んでいると、冷やー汗が出ます。
 Falconも一応、大人ですから、この程度のことで驚きませんが、人前で黙読するのはちょっと恥ずかしいです。イラストが、この本の肝というか、売りなんですけど、もし誰かに読んでいるところをのぞかれたら恥ずかしいですよ。

 平安時代、鎌倉時代、室町時代を中心に性にまつわる古文が紹介されています。
 「えー、こんな古文があったのおぉぉ」と驚きます。
 でもね、学校ではとても教えてもらえません。
 あの源氏物語でも、一番面白い場面は教科書で取り上げられません。源氏物語にはいわゆる濡れ場というか、男女の交情はほとんど描かれません。柏木と女三宮のところはかなり緊迫したばめんですけどね。

 江戸文学がほとんど取り上げられないのですが、江戸まで手を広げたら、紹介しきれないからなんでしょうね。江戸文学=エロ文学と言ってもいいくらい、男女の恋中を描いた作品はきりがありません。勿論、男と男の世界もバッチリあります。
 あの『南総里見八犬伝』のパロディで、犬の八房と伏姫の生々しい場面を描く作品だってあります。昔、坂本九さんの名ナレーションでわくわくして見たNHK『新八犬伝』のイメージが崩れます。

 いやそんなことはどうでもいい。

 このブログでも何度か取り上げた後深草院二条の『問はず語り』も取り上げられています。
 ああ、残念!
 後深草院二条という女性は久我家の出身なのですが、『セクシィ古文』で久我の読み仮名が「くが」となっていました。正しくは「こが」です。
 久我家は名門の一つで、後深草院二条の遠縁には日本の曹洞宗の開祖である道元がいます。女優の久我美子(芸名くが・よしこ、旧姓の本名こが・はるこ)さんも久我家の出身です。久我家の分家には岩倉家があり、久我家とは直接、血がつながっているわけではありませんが、岩倉具視、その子孫の俳優の加山雄三さんもゆかり深い人物になります。

 ところで、鼻濁音を正しく発音できますか?
 「が」は語中、語尾にあると、鼻にかかった、鼻から息を抜く、そうフランス語の鼻母音を出す調子で発音します。そうすると滑らかで穏やかな日本語になります。この「が」を鼻から息を抜かないと、きつい、聞きづらい日本語になります。
 最近の若者は鼻濁音がきれいに発音できません。
 ドラマに出ている若い俳優さんの「が」が耳障りです。
 ですから「久我家」の「が」も鼻濁音です。
 鼻濁音が発音できると、セクシーな魅力を発揮します。

 話がまとまったところで、御あとがよろしいようで。

22:12:12 | falcon | comments(0) | TrackBacks

怪奇!ヘビ男

 朝起きると、寝床に茶色い薄皮のようなものが散らばっている。まるで脱皮したヘビの皮のようだ。

 沖縄で日焼けしてから2週間以上経った。そろそろ皮がむけてきている。

 ああ、まるでヘビ男。
 ムズ痒いので、寝床でくねくねしているうちに皮がむけてきたらしい。

 『耳なし芳一』のように全身に般若心経を墨で書いていたらどうだったろう。日焼けした後、墨の部分が白ぬきになって、意外とカッコイイかもしれない。

 あの話、子どものころ、読んだとき、蘇った平家の怨霊が怖かったけれども、今、読み返すと御経を全身に書かれる芳一の姿がセクシーに感じられる。耽美の極致としか思えない。

 そういえば、芥川龍之介の『地獄変』もクライマックスで、絵師が娘の焼け死ぬ様子を描く場面が強烈だけれども、絵師が弟子に鎖をかけていたぶる場面もなかなかイケている。

19:17:25 | falcon | comments(0) | TrackBacks

August 26, 2010

アメリカがイラクを見捨ててアフガニスタンにこだわる理由

 池上彰さんの解説は、いつ聴いてもほれぼれする。
 昨日のテレビの解説で、アメリカがイラクから兵を少しづつ撤退する理由がわかった。
 アフガニスタンについては、ちょっと歯切れが悪かった気がする。
 アメリカがイラクから兵を撤退させて、アフガニスタンに派兵するのは何故か、アフガニスタンはソ連が侵攻して以来、混乱を極めており、周辺国にとっても手の施しようもない状況なのに、それでも何故、アメリカがこだわるのか。

 イラクには石油資源があるが、石油は他の中東諸国でも、イギリスでも、アメリカ合衆国でも、南米の国でも出てくる。アフガニスタンには、他の国にはない魅力がある。
 アフガニスタンは世界有数のレアメタル大国なのだ。
 レアメタルはアフリカ諸国、中国、ロシアなどの国々でも産出する。実は日本も産出の効率が悪いとして閉山が相次いだが、レアメタルの豊富な国である。探せば埋蔵量の多い鉱山はある。
 アフガニスタンのレアメタルは、中国、ロシアが利権を狙っていて、タリバンの残党やテロ組織が跋扈していても、商魂だけで乗り込んでいる。そこでアメリカも派兵を口実に、レアメタルの採掘権を狙っている。アフガニスタンの国民生活のことなんか、ちっとも考えていない。オバマ政権は巧妙な手口でレアメタルの利権を握ろうとしているのだ。

 比較しては可哀相だが、息子のブッシュ大統領は「わかりやすい政策」で世界を翻弄させてくれた。その上、無責任にも、世界同時不況を起こしておきながら、退陣して、それっきりだ。

 オバマ大統領はバカじゃなそうだが、ポスト・ブッシュのアメリカをなんとか立て直してほしい。口だけ、見せかけだけで、無策な状態に見えるのはFalconだけだろうか。

02:45:58 | falcon | comments(0) | TrackBacks

August 18, 2010

司書養成のことも『ツボに訊け!』

 以前、女性のスポーツ着姿に煩わされないで、男性が安心して読めるツボに関する本がないと書き込んだことがあります。つまり、ツボのことを知りたいのに、女性の写真目当てに読んでいると周囲に誤解されるのが恥ずかしいんです。しかも、最近のツボの本は女性向けに書かれていますから、女性特有の症状を取り上げています。

 たまたま、職場の図書館でちくま新書で、比較的最近刊行された寄金丈嗣著『ツボに訊け!:鍼灸の底力』を見つけて、借りて読んでいました。村上春樹のデビュー作『風の歌を聴け』を思わせるタイトルだなあと思いました。
 この本は、「この症状に、このツボが利く」ということを事細かに解説している本ではありません。東洋医学のなかでも、鍼灸についての概説書です。著者は鍼灸に関する雑誌を発行していた経験があり、ジャーナリストの視点も持ち合わせて、日本の鍼灸界(?)を描き、また、東洋医学の真髄に迫ろうとしています。
 この類の本には読者を馬鹿にして適当な(いい加減なではなく、読者の理解度に合わせようとして)解説を書いているものも少なくありませんが、寄金氏は鍼灸の古典籍を示して、現代の読者でも理解できるように解説しています。

 圧巻は「バーチャル鍼灸体験」の章です。これだけ読んでも面白い。3軒の鍼灸院が登場して、著者の指令を受けたレポータ―(女性)が突撃取材したルポルタージュです。レポーターの目から見た良い鍼灸師の見分け方が説かれているのですが、しかしながら著者の立場は極めて慎重で、それぞれの鍼灸師の特徴を捉えて、事情を斟酌して、良い鍼灸師であるかは施術を受ける人が判断するべきであるとしています。このあたりは情報の判断においても示唆に富んでいます。

 これも以前に書きましたが、次のもので国家資格はどれでしょう。

 1.鍼灸師
 2.あん摩
 3.カイロプラクティック
 4.接骨医(柔道整復師)
 5.整体師
 6.エステティック

 答は1.2.4.です。

 1と2については「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」という法律が昭和22年に制定されています。図書館法(昭和25年)よりも古い法律です。法律の名前が長いので「あはき法」と略称で呼ばれています。一方、Falconも足底筋膜炎や怪我でお世話になっている接骨医、つまり柔道整復師には柔道整復師法(あはき法からわかれて昭和45年に成立)という法律があります。これら以外の3.5.6.には国家資格はありません。ましてタイ式マッサージには日本の国家資格はありません。しかし、ここが肝腎な点ですが、国家資格が無いからと言って、効果が無いというわけではなく、整体で腰痛がよくなったという話もよく聞きます。Falconもマッサージを受けたことがありますが、資格について尋ねたこともなく、気持ちよく感じ、効果があったと思いました。
 この本では鍼灸師の養成について巻末のほうで解説しています。養成教育に当たる人が比較的容易になれること、誰でも身につけられる技術的なことや西洋医学の知識に偏ってしまい、東洋医学の精神が見過ごされがちなことなどを著者は憂いています。
 読んでいると、司書養成、司書教諭養成についても言えることが散見できて、興味深かったです。

 資格があっても、資格が無くても、技術と知識を持っている人は確かにいます。

 さりながら、図書館に興味を持っている素人が専門家面して、説教してくると、腹ら〜あ立ちます。司書をなめたら、あかんぜよ!

 というわけで、結構、勉強になりました。残念ながら、即効性のあるツボは、この本では判りません。

 ちなみに不安を取り除くツボがあるそうです。左右の乳首を結ぶ線の中間に「壇中」というツボがあります。これが不安解消になるそうで、Falconは夜眠れないとき、「壇中」を軽く指圧しています。

01:09:45 | falcon | comments(0) | TrackBacks