April 29, 2009

麻生首相にちょっとだけ賛成

 フランスのアングレーム市には、バンド・デシネ(フランスのマンガ)の博物館がある。
 おそらく麻生首相は、これを念頭にして、「漫画博物館」の構想を練ったのであろう。
 一部の政治家からは「漫画如きに金を使うなんて、どうかしている!」と呆れ果てられているが、「わたしの仕事館」よりは建設する意義があると思う。
 フランスから帰ってきたばかりとは言えないが、先ごろフランスへ行っていたので申し上げたいのだが、フランスのどこの図書館に行っても日本の漫画・コミックが置かれている。町の書店には日本の漫画のコーナーがあって、フランスのバンド・デシネと覇を競っている。日本の漫画・コミックは、フランスのみならず、台湾などアジア各国でも極めて評価が高く、日本の電化製品と並んで、海外では文化面で多大な影響力を持っていると言ってもよい。しかも、フランスでは非常に良質の漫画・コミックに関心が高く、フランス人の見識は高い。つまり、エログロやバイオレンス、描線の荒い、いかにも手抜きの作品には眼もくれず、日本では評判にならないような芸術性の高い作品や娯楽性のある作品にも目を配っている。図書館には日本では読んだことも無かった『一休禅師』(もちろんフランス語訳)の漫画もあった。子どもたちの間では『ONE PIECE』が大人気。
 箱もの行政には異論があるだろうが、日本が世界に誇る漫画文化を紹介する施設は、世界から大勢の観光客が訪れる可能性は十分にある。
 小沢さんも、鳩山さんも、麻生首相を鼻であしらうようなことはしないで、日本の将来を見据えた論議を進めてほしい。

 漫画家を育成して、その生活を安定できるような優遇措置はとれないのかと思う。これだけ世界から絶大な注目を集め、ほとんど流出状態なので、何とかしてほしいと思う。

 それから、日本の図書館でも、もっと漫画を大切にしてほしい。

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April 27, 2009

いつまで「欧米化」?

 いまだに「図書館行政にしても、司書の養成課程にしても、欧米は進んでいますよね」と声高に主張する人がいる。でも、本当にそうなのか、裸の王様を公然わいせつ罪で逮捕できないのだろうか。

 日本は明治時代から欧米を見習った近代化を推し進めてきた。「脱亜入欧」をスローガンに「鹿鳴館」で舞踏会をした時代もあった。たしかに、その頃は近代化と言えば、ヨーロッパを手本にするしか、他に術がなかった。
 太平洋戦争に敗戦して、アメリカの統治を受けたときから、日本人はアメリカを崇拝するように躾けられてきたと言ってもよいだろう。日本人は、テレビでアメリカの番組を見て、ハリウッド映画でアメリカの生活に憧れた。倒錯した憧れだが、ヒッピー、ストリート・キング、ドラッグ、ニューヨークで発生した凶悪犯罪すらも、心の隅で魅力を感じていたところがある。実際には、そんなことしたら迷惑だし、反社会的行為として処罰されるのだけれども。

 1970年代までは海外に行く日本人は少なかったから、海外から帰国した人に「アメリカでは、こうでした」「イギリスでは、こうでした」「フランスでは、こうでした」と言われたら、素直に信じて、「やはり欧米は素晴らしいですね」と納得できた。

 だけれども、今は多くの日本人が海外へ出かけるし、わざわざ出かけなくてもインターネットで情報が入手できる。外国語ができれば、生の情報が簡単にキャッチできる。ニュースだって、動画で見られるし。
 今の日本人を「舶来品ですよ」と言って、だませると思い込んでいるほうが甘い考えだ。

 図書館について言えば、単純に「欧米が素晴らしい」とは言えない。
 アメリカ、イギリスは地方格差が激しい。日本の研究者が見てくるのは、素晴らしい活動をしているところだけだ。
 フィンランドは世界で最も公立図書館が利用されている国だが、以前にも書きこんだように、フィンランド語の出版物のマーケットが小さいために図書の価格が高く、そのうえ税金が高いので、公立図書館を使わざるおえない。
 フランスも公立図書館が多く建設されるようになったのは1980年代からで、つい最近まで「公立図書館の後進国」と自認していた。

 学校について言えば、ヨーロッパの国々に比べて、日本の学校は案外と施設が充実している。日本の学校は校庭が広々としている。フランスは、特にパリの中心街は、学校の校庭がせまい。これは比べるのが無理だけど、日本の学校には必ずプールがあるが、ヨーロッパの学校でプールがあるのは多くない。ヨーロッパは温暖とはいえ、日本に比べれば、暑い夏の時期は短いからだ。私立学校は別として、公立学校はあまり施設は充実していない。

 こうして実情を知ると、「欧米を見習おう」と単純に言えない。日本はいつまで「鹿鳴館」、「ギブ・ミー・チョコレート」を言い続けるのだろうか。

 やはり、裸の王様には「公然わいせつ罪だ」と言ってあげよう。

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April 26, 2009

図書館で雇用形態が多様化した理由

 今、公立図書館に限らず、大学図書館でも、学校図書館でも、派遣職員、委託職員、嘱託職員、臨時職員、アルバイトが増えている。そして国立国会図書館でも、窓口業務、書庫内出納業務の一部を民間企業に委託している。

 この厳しい雇用状況の中では、仕事を捜している身にとって藁でも掴みたい気持ちがある。否、図書館の雇用市場は、30年前も、20年前も、年間約1万人が司書資格を取得しても、正職員として就職できたのは数パーセントという悲惨な状況だった。やっと、仕事を見つけても、アルバイトしかなかった。

 本来なら、資格を得たのだから、それに見合う専門職がなければ意味がない。資格を得ても、できる仕事はアルバイト程度では、話にならない。

 Falconも厳しい状況の中で図書館関係の職場でフリーターを経験してから、大学院に進学した。何も経験しないで、高いところから発言しているのではない。

 図書館の仕事を誰でもできると思いこまれてしまったのではないか?この人たちに責任があるというわけではないけど、専門職でないとできないという認識が世間にない。
 もう一言、言わせてもらえれば、図書館の熱烈な利用者、言わば「取り巻き」が「私たちのほうが詳しい」と言わんばかりに乗り込んでくる事例がある。こうした人たちの参入を拒むことはできないが、彼らの行き過ぎた態度と行動を専門家は制御するだけの力を持つ必要があると思う。つまり、プロとアマチュア、玄人と素人の線引き、区別をする必要がある。

 これだけは言っておきたいが、図書館の仕事は誰でもできるものではない。貸出や読み聞かせにしても、全く知識がなくできる単純な仕事ではない。
 だから資格を安売りしてはいけない。
 かつて、国鉄が解体した後、元・職員が図書館に配置されたことがあったように、自衛官を退職した人が図書館に配属されることも全く絵空事とは言えない。

 去年、警告したように、文部科学省からの補助金よりも、防衛省からの補助金のほうが図書館に使われている場合がある。ネットで教育委員会の歳費を検索すれば、簡単に判明する。文部科学省所轄なのだから、地方税と地方債のほかに、補助金は文部科学省のだけで賄えればいいけどね、逼迫した地方財政では、もらえるものは何でも使うしかないんだなあと思う。

11:54:39 | falcon | comments(0) | TrackBacks

文学部出身の図書館職員

 Falconは文学部卒業して、しかも日本文学を専攻した。それも源氏物語で卒業論文を提出した。
 振り返ってみると、大学の校門を潜った瞬間に、この先、社会ではまともに生きて行けないと感じた。源氏物語を研究するのは、たしかに興味深いし、面白いし、楽しい。だが、それが実社会でどれだけ役に立つだろうか。文学は、所詮、楽しみにすぎない。仮に就職するにしても、文学が役に立つのは中学校・高等学校の教員、文学系の出版社ぐらいで、後は咄嗟に思いつかないくらいマイナーな職種だ。
 そこで、少しは社会に出たときに、ほかの人のお役に立ちたいと図書館職員を目指したけれども、茨の道だった。

 ちょっと待った、茨の道と言ったって、結局、大学の教員になったんでしょ!

 正直に言うと、自ら望んで大学の教員になったわけではない。図書館職員を続ける覚悟でいたが、たまたま勧めてくれた人がいて、成っただけだ。
 おっと、こんなところで、告っていたら、話が進まない。

 問題は自らもそうだったけれども、文学部で司書、および図書館職員を目指す人が多いということだ。
 図書館職員になって判ったけれども、文学部出身の図書館職員は現場ではあまり歓迎されない。文学部出身で、金勘定も苦手、経済にも、法律にも、政治にも関心がない、自分の給与から税金が引かれていることにも関知していない、化学、物理もお手上げ、外国語は文字を見るだけで頭が真っ白、読んでいる本は夢物語のような人間は、たとえ司書の資格を取得したとしても、門は閉ざされて、先がない。

 ちょっと待った、金勘定ができて、政治・経済・法律に詳しく、外国語が3カ国語以上できれば、図書館職員になんかなりたいと思うわけないじゃん!もう少しマシな仕事に就くよ、エグゼクティブになるよ。それらができないから、図書館職員になろうと思うのでしょ。自分が文学部出身のくせに、偉そうなこと言うなよ。

 そっ、そっ、そうなんだけれど、文学部出身の図書館職員ばかりになって、徒党を組んでいても、図書館の将来がないと思う。いろいろな知識、情報、学問に関心を持ち、さまざまな利用者の要求に応えられる図書館職員がいなければならない。
 子どもに読み聞かせをして、それを生きがいにすることも大切だけれども、それだけで「私は図書館職員になる資格がある」と勘違いされても、困ってしまう。
 花鳥風月を愛でるだけで、図書館職員はやって行けない。

 自分も文学部出身だから、文学部の学生たちを邪険に扱うつもりは全く無いけれど、法学部、経済学部、理系や体育系の学生も図書館に興味を持って、図書館職員を将来の職業の選択肢に考慮してほしいと思う。

 ちょっと、さっきから読んでいれば、いい気になって、余計なことまで書き連ねているけど、文学部に入学した人間の夢を奪うことを、あんたみたいな公的な立場の人間が発言するのは問題だよ!文学部は、タダじゃなくたって、就職先が少ないのに、図書館職員になる夢まで否定されたら、この先、どうなりゃ、いいのさ!
 一体、あんた、何が言いたいの!ふざけんじゃないよ!

 そう息巻いても、図書館職員がもっと社会に認知されるためには、文学以外のことに関心のある人にも利用してもらう必要があると思います。ビジネス支援や法律情報のサービス、健康情報のサービスに公立図書館が取り組んでいますから。。。。。。
 じゃあ、こうしましょ。文学部出身でもいいから、もっといろいろなことに関心を持ってもらいたいですね。政治・経済・法律・行政にも。

 まーあ、そう言うなら、許してやってもいいけど、これ以上、余計なこと言うんじゃないよ。

 はーい、わかりました。寝ます。

00:33:30 | falcon | comments(0) | TrackBacks

April 24, 2009

ああ恥ずかしかった

 『吉野北高校図書委員会2』(メディアファクトリー)が刊行されたらしい(2月刊)ので、神田・神保町の三◎堂で探していた。なかなか見つからなかったので、店員の人に「メディアファクトリーの文庫はどこですか?」と尋ねた。
 「ちょっと待ってくださいね」
 しばらく経って、「お客さん、メディアファクトリーの文庫はここですよ!MF文庫ですよ」
 (えっ?MF文庫)
 そこは、ライトノベルの文庫の棚!?
 (きゃーあ、いい年したオッサン、じゃなかった、スーツでバチッと決めた紳士がライトノベルの文庫の棚の間をうろうろするのは恥ずかしいじゃないか!)
 顔から火を噴くどころか、顔から血が吹き出しそうになり、結局、見つけられなかった。『図書館司書麻里』を見つけるときより、『スットコ図書館』を探す時より、恥ずかしかった。

 「今度の日曜日に探すとするか」と、サッサと諦めて、書店を後にした。

01:05:43 | falcon | comments(0) | TrackBacks