May 05, 2008

司書講習、司書教諭講習を乗り越えて

 いろいろな意味で、図書館に関心が集まっています。
 ちょうど5月は図書館振興の月です。

 自分もその片棒を担いでいるので、おかしなことを言いたくないのですが、司書・司書補講習にしても、司書教諭講習にしても、「講習」というやり方そのものに問題があると思います。
 司書・司書補講習も、司書教諭講習も、制度として始まってから、50年以上は経っています。太平洋戦争終結直後ではありませんが、今から見れば、日本が復興をはじめるころに、図書館法(昭和25年)、学校図書館法(昭和28年)が制定されて、養成が開始されました。たしかに、今よりも条件が整わない時代でしたから、「講習」という、言わば「速成講座」のように短期間で養成する形が求められたのでしょう。しかしながら、今では、図書館のあり方も高度化していますし、サービスの幅も変化してきています。「速成講座」で養成された司書、司書教諭では十分な職務を果たせません。
(「座学が苦手な人」は、論外!)
 講習を見直して、大学院・ポストグラジュエート(大学の学部既卒者を対象にした高等教育)レベルとは言いませんが、少なくとも大学の課程レベルで2年以上の課程を修了したものとするべき時がきたと思います。フランスのドキュマンタリスト教員のように、最低でも500時間は必要だと思います。

 また、現在は司書補は高等学校卒業者を、司書を短期大学卒業者以上を受講資格にしています。司書教諭も、司書に合わせるように、短期大学卒業者以上を受講資格にしています。司書も司書教諭も学力レベルとしては、短期大学卒業者以上を想定しているのです。短期大学での資格課程を切り捨てることはしたくないのですが、現状として大学卒業者が多いので、資格取得者のレベルアップを図るために、司書補を短大卒者、司書、司書教諭を大卒者以上としたら、いかがでしょうか。
 高卒者は大検合格者レベルを対象に司書補講習行なえばよいと思います。
 できれば、今年から開設された教職大学院で司書教諭のコースを設けることも検討するべきでしょう(文部科学省では、こうした案は検討されているようですが、設置する大学院が司書教諭そのものに重要度を見出していないので、「良きに計らえ」になってしまい、実行されることは無理でしょう。)。日本の教職大学院は養成よりも、レベルアップが目的ですから、フランスの教職大学院IUMFを参考にして、と言っても、根本が違うので、無理な相談でしょうね。焼き芋じゃない、焼け石に水というか、笛吹けど踊らずでしょう。

 最近の動向を把握していないのですが、以前に司書講習に関わったとき、日本の高校を卒業して、留学して外国の大学の課程を修了して卒業した人が受講を希望してきました。*図書館法と図書館法施行規則では、外国の大学の卒業は認められず、結局、その受講者は司書補講習を受けることになりました。たとえ、オックスフォード大学であろうと、コロンビア大学であろうと(←「そんな有名大学卒業者が日本の司書を目指すわけないダロ!」とバカなツッコミ入れないでください。言葉の綾、レトリックです。)、司書講習の場合、外国の大学卒業では受講できず、日本の大学を卒業していることが条件になっていました。最近、図書館法と図書館法施行規則は変わったでしょうか。もし、変更があったら、ご教授ください。
 外国の大学卒業者でも、司書講習の受講資格を認めるべきだと思います。
*(訂正とお詫び:司書講習規程はありません。学校図書書館司書教諭には司書教諭講習規程があります。)

 以上、雑念が渦巻く中、思うことを述べました。
 

16:56:09 | falcon | comments(1) | TrackBacks